予算成立にメドも、難問続く石破政権

新年度予算案の修正をめぐり、自民・公明両党と日本維新の会の3党は25日、党首会談を開き、教育無償化や社会保険料の負担軽減策などについて、正式に合意した。維新は、新年度予算案に賛成する方針も決めた。

一方、「年収103万円の壁」の見直しをめぐり、国民民主党は、公明党が先に示した非課税枠を上乗せする年収の範囲を拡大する案については、受け入れが難しいとして、引き続き与党側と協議を続けることにしている。

新年度予算案は、維新が予算案に賛成する方針を決めたことから、少数与党の下で、年度内の成立にメドがついたことなる。一方、与党と国民民主党との修正協議は難航しているほか、予算案の衆院通過の時期、参考人聴取などの難問を抱えており、与野党のせめぎ合いが続くことになる。

 与党と維新、予算修正で合意・成立へ

新年度予算案と政策の協議をめぐって、石破政権は国民民主党と、日本維新の会を天秤にかける形で協議を続けてきたが、まずは維新との間で合意にこぎ着けたことになる。

与党と維新の主な合意内容は、◇今年4月から公立高校の授業料を実質的に無償化するため、公立・私立を問わずに支給される年間11万8800円の修学支援金の所得制限を撤廃する。

◇私立高校については、来年2026年4月から所得制限を外し、現行の年最大39万6000円から、全国平均の授業料の45万7000円まで引き上げる。

◇維新が主張する社会保障改革を議論するため、3党による協議体を設置することなどが合意文書に盛り込まれている。

維新は25日、臨時の役員会と両院議員総会を開いて協議した結果、教育無償化などの合意文書を了承するとともに、新年度予算案について賛成する方針を多数決で決めた。

これを受けて自民・公明両党と維新の3党は25日夕方、石破首相、斎藤代表、吉村代表が会談し、合意内容と新年度予算案を成立させることで最終的に合意した。

維新が新年度予算案に賛成する方針を決めたのは、去年の衆議院選挙で議席を減らすなど党勢が低迷し、12月から吉村氏が新代表に就任したことから、今年夏の参院選に向けて実績を示したいねらいがあるものとみられる。

一方、石破首相は少数与党の下で予算案成立は至上命題で、国民民主党との政策協議が停滞したことから、維新との協議の決着を急いだものとみられる。

 国民民主との予算修正協議は難航

「年収103万円の壁」の見直しをめぐる自民・公明両党と国民民主党との協議では、先に公明党が所得税の非課税枠を上乗せする年収の範囲について、自民党案の500万円以下から、850万円まで拡大する新たな案を示した。

これを受けて国民民主党は15日、党の税制調査会の会合を開いて協議した結果、「年収によって非課税枠に差をつけるのは不公平で、受け入れるのは難しい」として、年収区分を撤廃するよう求めていくことを確認した。

また、ガソリン税の暫定税率の廃止時期を明らかにするよう求めていくことになり、党の代表代行を務める古川税制調査会長に一任することを決めた。

会合のあと、古川代表代行は「中間層を含めて幅広く手取りを増やしていくことが大事だ。こちらから協議を打ち切るつもりはない」との考えを示した。

自民党の森山幹事長と公明党の西田幹事長は25日会談し、去年12月に国民民主党を含む3党の幹事長が「178万円をめざす」などと合意した意味は重いとして、ガソリン税の暫定税率廃止を含めて、引き続き丁寧に協議していくことを確認した。

 参考人聴取、修正規模などの難問も

このように石破政権にとっては予算成立のメドは立ったが、野党側と詰める案件は幾つも残っている。

まず、自民党旧安倍派の裏金問題をめぐって、会計責任者の参考人聴取の日程が先送りになっているが、自民党は27日に実施する考えを伝えた。この参考人聴取で、どのような説明が行われるか。これを受けて、今後の裏金問題の実態解明をどのように進めるかが問題になりそうだ。

また、予算修正をめぐって、維新と国民民主との協議が先行する一方で、野党第1党の立憲民主党は、与党側に提示した3兆8000億円規模の修正案の協議が進んでいないことにいらだちを強めている。

自民・公明両党と立憲民主党の3党は、政調会長レベルで協議を続けているが、立憲民主党の修正要求をどこまで予算案に反映させるかも焦点だ。

こうした中で、新年度予算案を年度内に自然成立させるための期限としては、3月2日までに予算案の衆議院通過が必要だ。しかし、今後の審議日程などを考えると期限までの衆院通過は困難な情勢になっている。

与党側としては早期の衆院通過をめざしているが、具体的な日程のメドはたっていない。仮に大幅にずれ込むことになれば、予算案の年度内成立に影響が出るほか、石破政権の政権運営能力も問われることになる。

また、夏の参院選挙を控えて世論は、石破政権や与野党の対応をどのように評価するのか大きな注目点だ。予算案に対する賛否と主要政策・課題への対応をしっかり見ていく必要がある。(了)

 

 

 

新年度予算案、与野党修正協議ヤマ場へ 

新年度予算案をめぐる与野党の協議が、今週ヤマ場を迎える。国民民主党、日本維新の会に続いて、立憲民主党も予算修正の要求案をまとめたのを受けて、自民党は17日以降、野党3党と個別の協議を進める。

石破首相や自民党の森山幹事長は予算修正に応じる考えを固めており、政府・与党が最終的に野党の要求をどこまで受け入れるかが、焦点になっている。(新たな動きは、原稿最後尾に★「追記」があります)

 野党3党要求出そろう、協議は個別

新年度予算案をめぐって立憲民主党は14日、予備費や基金から財源を捻出し、小中学校の給食費の無償化やガソリン価格引き下げなどを内容とする3兆8000億円規模の修正案をまとめ、自民党側に説明した。

立憲民主党案は、◇ガソリン税などの暫定税率を廃止して価格を引き下げるためにおよそ1兆5000億円、◇小中学校の給食費の無償化に4900億円、◇高校授業料の無償化に3700億円、◇介護や障害福祉に従事する職員の処遇改善に4200億円、◇患者の自己負担を抑える「高額療養費」の上限額の引き上げを凍結するための費用200億円などとなっている。

この立憲民主党案は、政府予算案全体を見直し、財源の捻出策と合わせて修正を求めているのが特徴で、17日以降、自民党との間で修正協議が行われる。

一方、日本維新の会は、高校授業料の無償化を強く主張しており、これまでに与党側は◇年間11万8800円の修学支援金を今年4月から公立・私立を問わず一律に支給することで、公立高校を実質的に無償化する案を示している。

さらに与党側は14日の会談で、私立高校の無償化に向けて現在、年収590万円未満の世帯の子を対象に年間39万6000円を上限に支給している修学支援金の所得制限を来年4月から撤廃するとともに支援金の上限額を引き上げると伝えた。

これに対し、維新の前原共同代表は、私立高校の支援金の上限額について、維新が主張する年間63万円にひき上げるよう求めている。また、ゼロ歳から2歳児までの保育や大学授業料など教育全体の無償化に向けて、年次ごとの計画を盛り込んだプログラム法を示すよう求めており、詰めの協議が行われる。

国民民主党は「年収103万円の壁」の見直しを去年秋以降、求めている。政府・与党は、所得税の控除額を123万円に引き上げる方針を示したのに対し、国民民主党は178万円まで引き上げるよう求めており、控除額が焦点になっている。

国民民主党からは、生活保護費の支給額を念頭に控除額を少なくとも156万円程度に引き上げるべきだとする意見が出ている。与党の公明党からは、食料品の値上がりなどを踏まえて140万円台後半とする案などが検討されており、3党の税調会長の協議が再開される見通しだ。

このように野党3党の要求には共通の内容も含まれているが、与党側との協議はそれぞれ個別に行われている。この背景には、野党各党とも夏の参議院選挙を意識して、与党側から譲歩を引き出し、その内容を成果としてアピールしたい思惑がある。野党の成果獲得合戦の側面もうかがえる。

 与党の修正受け入れ内容が焦点に

新年度予算案をめぐる野党側との政策協議について石破首相は13日、自民党の小野寺政務調査会長を首相官邸に呼び「野党からいろいろな提案があり、しっかり耳を傾けて、いいものをまとめるよう努力してもらいたい」と指示した。

自民党の森山幹事長も15日、福島市で講演し、予算修正をめぐる与野党協議が来週、ヤマ場を迎えるという認識を示したうえで、「各会派の意見をしっかり聞いて、筋の通るものであれば修正をして、一つでも多くの会派の理解をいただきたい。年度内に成立させなければいけない」とのべ、予算修正に踏み切る考えを示した。

自民党は、維新と国民民主の両党を天秤にかけ、最後にどちらか一方の要求を受け入れて予算成立をめざすのではないかとの見方が一部にあった。これに対し、石破首相と森山幹事長は、できるだけ多くの野党の賛成を得て、予算案の成立をめざすものとみられる。

このため、自民党は維新と国民民主両党の主張について、さらに一定程度、受け入れるものとみられる。また、立憲民主党の要求についても、衆院予算委員長ポストを立民が握っていることから、最も重視している予算案の年度内成立を確実にするために一定の範囲で認めるものとみられる。

こうしたことから与野党協議では、与党が野党3党の要求をどの程度、受け入れるかが焦点になる。その結果、野党側のうち、どの党が予算案の採決で、賛成に回ることになるかも大きなポイントになる。

政府の当初予算案は、与党の基本政策を財政面で肉付けしたものだけに、野党が賛成に回るのは異例だが、少数与党政権の下では、野党の一部の協力がないと予算案が成立しないので、与党としては野党の賛成取りつけに懸命だ。

今のところ、立憲民主党が賛成に回る可能性は低いとみられる。維新と、国民民主党の両方か、あるいはどちらか一方の賛成になるのか。この予算案の賛否は、後半国会の展開にも影響してくる。

ここまで見てきたように少数与党に転じた石破政権は、予算成立と政権維持のためには予算案の修正に応じる以外に道はない。問題は、修正の出来具合が国民の納得のいく内容になっているのかどうか。野党の修正要求と実現に向けた取り組み方、それに与党側の判断を含めて、修正協議の結果をじっくり見極めたい。

★追記(18日午前9時現在)高校の授業料無償化について、石破首相は「与党と維新の会との協議が整えば、新年度予算案を修正する方向で与党とも相談したい」とのべ、予算案の修正に応じる考えを示した。17日の衆院予算委員会で、維新の前原共同代表の質問に答えた。石破首相が予算修正に踏み込んだのは初めて。現在、公立・私立を問わずに支給されている年間11万8800円の修学支援金の所得制限を4月から撤廃。また、私立高校を対象に年間39万6000円まで加算される支援金の上限額について、今後45万7000円まで引き上げることを検討する考え。

 

 

 

 

”初回は成功、難問はこれから”日米首脳会談

石破首相とトランプ大統領との初めての日米首脳会談が日本時間の8日未明、ワシントンで行われた。

会談では、日米同盟の強化を再確認したのをはじめ、経済分野では石破首相が、アメリカへの投資額を1兆ドル(151兆円)規模まで引き上げたいとの考えを伝えた。

また、日本製鉄によるUSスチールの買収計画については、単なる買収ではなく、投資としての意味合いがあるとの認識を共有したことを明らかにした。

こうした今回の首脳会談をどのようにみたらいいのだろうか。結論を先に言えば、最初の会談としては、日米関係の方向性などで一致することができたので、成功と言えるのではないか。但し、具体的な対応はすべてこれからだ。難問はこれからと覚悟しておいた方がよさそうだ。

なぜ、こうした結論になるのか、具体的に会談の中身をみていきたい。

 経済政策、アメリカへの貢献を強調

トランプ大統領の再登板以降、カナダやメキシコ、中国に対する関税の引き上げが大きな問題になっているので、経済分野から見ていきたい。

日米首脳会談で石破首相は、日本は5年連続でアメリカへの投資額が世界一であることを説明したうえで、今後も二国間の投資と雇用を大幅に増やすことや、アメリカのLNG=液化天然ガスの日本への輸入を増やすことなどを表明した。

そして、アメリカへの投資額を1兆ドル(151兆円)の規模まで引き上げたいという考えを示したほか、日本製鉄によるUSスチールの買収計画は「単なる買収ではなく、投資としての意味合いがある」との認識で一致したことを明らかにした。

USスチールの買収計画について、石破首相は帰国後に出演したNHKの番組で「単なる買収ではなく、投資を行い、アメリカの企業であり続ける」とのべ、投資を重視する仕組みに修正して計画が進められるという見通しを示した。

このように石破首相は、日本はアメリカへの投資や雇用の拡大に貢献していることをアピールするとともに、対米投資額をバイデン政権時代の8000億ドルから、1兆ドルまでひき上げる考えを伝え、トランプ大統領から歓迎された。

こうした対米貢献策が評価されたためか、日本側が警戒していた関税の引き上げなどの要求は議論されなかったとされる。

 安全保障分野、従来の方針継続を確認

外交・安全保障分野については、日米同盟を強化するとともに、アメリカが防衛義務を果たす日米安保条約第5条を尖閣諸島に適用することを確認した。

また、厳しく複雑な安全保障環境の中で、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、協力していくことを確認し、日米豪印のクアッドや日米韓、日米豪、日米比など多層的な協力を推進するとしている。

トランプ大統領は最初に当選した際、当時の安倍首相と最初の首脳会談を2017年2月10日に行い、その結果を日米共同声明として発表した。当時の共同声明が手元にあるが、日本語でA4用紙2枚の分量だった。今回は3枚に増え、安全保障分野では、主な方針はそのまま盛り込まれている。

石破首相は「今回の首脳会談で日本の防衛費について、トランプ大統領から言及はなかった」と説明している。

一方、今回の日米共同声明によると、2023年度から2027年度までの防衛力の抜本強化に続いて「米国は、2027年度よりあとも抜本的に防衛力を強化いくことに対する日本のコミットメントを歓迎した」とある。日本の防衛力のさらなる強化を期待していることが盛り込まれている。

 石破首相「相性は合うと思う」

今回の首脳会談が行われるまで、国内では「石破首相は、トランプ大統領と相性がよくないのではないか」「アメリカ側から、さまざまな要求を突きつけられて対応できるのか」など首脳会談の先行きを不安視する声が聞かれた。

首脳会談で石破首相は「日米の緊密な関係は、大統領と安倍首相によって礎が築かれた」などトランプ大統領を盛んに持ち上げ、トランプ大統領も「シンゾーもあなたのことを尊敬していた」「あなたは偉大な首相になるだろう」などと上機嫌で応じた。

石破首相は帰国後、出演したテレビ番組で「『こいつとだったら、また話したい』という関係を作らないといけない。大勢の人に努力をしてもらい、いい結果になった」「テレビで見ると怖そうなおじさんだが、実際に話をしてみると人の話をよく聴く人だ。相性は合うと思う」と自信をのぞかせた。

石破首相は、トランプ氏側から誘いのあった大統領就任式前の会談を延ばしたうえで、就任後に会談することになった。日程が決まった後は、会談の準備を練りに練ったという。外務省をはじめとする関係各省、通訳など総力で準備に当たったとされる。そうした支えがあって、最初の会談を何とか乗り切れたのだろう。

 防衛・安保の議論のあり方も再考を

今回の首脳会談をめぐっては直前まで「吉と出るか、凶と出るか」心配されたが、「吉」と出たと言っていいのではないか。但し、最初の会談は順調に行われたが、今後はどうなるかわからない。

トランプ大統領は今回、石破首相に厳しい要求をぶつけなかった。この背景には、日本との貿易赤字がトランプ政権第1期時代は世界で3番目だったが、今は7番目までに減っているためとの見方もある。

また、トランプ政権にとって、最も手強い中国との対決に備えて、同盟国である日本を自らに引きつけておくねらいもあると思う。

トランプ大統領は今後、関税の引き上げや、LNG液化天然ガスなどの開発、日本の防衛力などをめぐって、日本に要求を突きつけてくることも予想される。日本としてもその備えというよりも、主体的にどのように考え対応していくのか、政府が方針を固め、国民を巻き込んで議論していくことが必要になる。

前回、岸田政権当時の防衛力の抜本強化をめぐっては、国民レベルの議論があまりにも少なすぎた。その結果、政権は防衛増税を打ち出したが、所得税増税は未だに実施時期が決まっていない。

国会は、与党の過半数割れへと大きく変わった。防衛力・安全保障をめぐる議論のあり方、進め方についても考え直す必要があると考える。(了)

”吉と出るか、凶と出るか”日米首脳会談

石破首相とトランプ大統領との初めての日米首脳会談が2月7日(現地時間)にワシントンで行われる見通しになった。石破首相としては、会談を通じて個人的な信頼関係を構築し、日米同盟のさらなる強化につなげたい考えだ。

一方のトランプ大統領は1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国には10%の追加関税をそれぞれ課す大統領令に署名した。課税はいずれも2月4日からとしている。これに対しカナダなど各国は強く反発し、対抗措置を取る方針だ。

トランプ大統領は、就任式当日の先月20日に気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱や、感染症対策などに当たっている世界保健機関WHOから脱退など40を超える大統領令に署名したのに続いて、今度は関税引き上げといった”トランプ砲”を発射し始めたといえそうだ。

こうした中で、石破首相は6日から8日の日程で訪米し、トランプ大統領との会談に臨む予定だが、果たして成果を上げることができるかどうか日本側関係者の見方を聞いてみた。

 楽観論と警戒論が交錯、予測不能?

自民党幹部の一人は「首脳会談の主な議題がどのようになるか聞いていないが、それほど心配していない。日米は『摩擦と協力』の連続だったが、いい智恵を出して乗り切ってきた」として、今回も難関を乗り切れるとの見通しを示した。

但し、こうした楽観論は少数派で、今回の首脳会談を危ぶむ見方が多い。石破首相は年末、麻生元首相と会談し助言を求めたのに対し、麻生氏は「トランプ氏には結論から言わなければダメだ」と語ると首相は「それが一番苦手だ」と漏らしたという。

また自民党内からは「安倍元首相とトランプ大統領との良好な関係は有名だが、”政敵の石破氏”のことがトランプ氏側にどのように伝わっているか。初対面の石破首相とトランプ大統領との相性が心配だ」との声も聞く。

さらに政府関係者は「トランプ大統領がどのような出方をするのか、正直わからない。予測困難だ」と話す。第1次トランプ政権発足前には、在日米軍の撤退にまで言及したことがある。「トランプ氏が関税の引き上げをちらつかせながら、防衛面の負担増を要求したりするのではないか」との警戒感も聞かれる。

ワシントン特派員経験者によると「石破首相や日本側が、トランプ氏に直接接触できたのは、これまで石破、トランプ両首脳のわずか5分間の電話会談だけだ。大統領の腹が読めないままトップ会談に臨むことになる」と懸念を隠さない。

このように日米首脳会談をめぐって、楽観論と警戒論などが交錯している。本当のところは「吉と出るか、凶と出るかわからない。予測不能な異例の首脳会談」というのが実態のようだ。

 首脳会談の結果、政局にも影響

国会は衆院予算委員会の基本的質疑が始まったばかりの重要な時期だが、石破首相は1日の土曜日も首相公邸に林官房長官や外務省幹部らを呼んで、日米首脳会談に向けての打ち合わせなどに懸命だ。

石破首相は、日米首脳会談では中国による海洋進出や、北朝鮮の弾道ミサイル発射など東アジア情勢が厳しさを増していることから、安全保障分野に重点を置く考えだ。

具体的には、日本としては防衛費の大幅増額など防衛力の抜本強化に取り組んでいることを説明する一方、沖縄県の尖閣諸島にアメリカの防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が適用されることなどアメリカの関与を確認したい考えだ。

また、トランプ大統領が1期目に北朝鮮による拉致被害者の家族と面会したことも踏まえて、拉致問題の解決への協力も求める考えだ。

さらに、「自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョン」の推進に向けて日米の協力を確認したい考えだ。

一方、経済分野については、日本は過去5年連続でアメリカへの投資が世界一であることなどを説明するとともに、トランプ大統領が重視しているエネルギー分野について、天然ガスなどの資源の輸入拡大を図る考えを伝える方針だ。

問題は、こうした石破首相の提案に対して、トランプ大統領がどのような考えを示すのか。また、トランプ大統領はすべての国に一律に関税を課す方針は変えていないことから、関税の引き上げや、持論の防衛費増額などについて言及するのかどうかが注目される。

日米首脳会談がどのような結果になるのか、外交・安全保障や経済の分野だけでなく、今後の国内の政局にも大きな影響を及ぼす。石破首相にとって、政権運営の追い風になるのか、それとも新たな重荷となって逆風になるのか、重い意味を持つトップ会談になる。(了)