自公過半数割れ、裏金問題が政権与党を直撃

第50回衆議院選挙は27日投開票が行われ、自民党は議席を大幅に減らし、単独で過半数に届かないことが確実になった。また、自民、公明両党でも過半数を割り込むことが確実になり、石破政権は大きな打撃を受けるのは必至の情勢だ。

衆院選挙は27日午後8時で投票が締め切られ、開票作業が進められた。自民党は議席が伸び悩んでおり、単独で過半数の233議席に届かないことが確実になった。

自民党は、28日午前1時半時点で186議席に止まっているほか、公明党も22議席で伸び悩んでいる。このため、自民、公明両党でも過半数の233議席に達するのは難しく、過半数割れをすることが確実になった。

これに対して、野党第1党の立憲民主党は公示前の98議席から、大幅に議席を増やし、28日午前0時半の時点で134議席を確保し、さらに議席を伸ばす勢いだ。

日本維新の会は35議席を確保したほか、国民民主党は27議席、れいわ新選組も8議席と公示前から議席を増やし、共産党も8議席を確保している。

自民、公明両党が衆議院で過半数を割り込むのは、2009年の衆議院選挙で民主党政権が誕生した時以来、15年ぶりのことになる。これによって、発足したばかりの石破政権は大きな打撃を受けるのは必至の情勢だ。

今回、自民党が議席を大幅に減らしたのは、自民党派閥の裏金事件について、実態の解明や説明などが不十分で、国民の不信感が逆風となって大きく影響したことが挙げられる。

これに加えて、自民党は不記載議員の一部を選挙で公認しないなどの厳しい措置を打ち出す一方で、非公認の候補者が支部長を務める政党支部に2000万円の活動費を支給していたことが選挙戦の最終盤に明るみになった。

自民党の関係者は「この問題が報じられた後、国民の自民党に対する視線が一段と厳しくなり、最終盤の巻き返しができなくなった」とのべ、この問題の選挙戦への影響の大きさを認めた。

執行部の政治責任浮上、政局流動化へ

今回の選挙結果について、石破首相は開票速報でのインタビューに答えて「非常に厳しい審判をいただいた。謙虚に厳粛に受け止めなければならない」とのべた。

こうした一方で、石破首相が引き続き政権を担当する意欲をにじませた。しかし、石破首相は、衆議院を解散するのに当たって勝敗ラインを「自民、公明両党で過半数を確保すること」を挙げていた。

自公過半数割れがどの程度で収まるのか、まだはっきりしないが、勝敗ラインを割り込んだことで、自民党内からは石破首相や党執行部の政治責任を明確にするよう求める意見が出されることが予想される。

また、選挙後の特別国会で首相指名選挙をどのように乗り切るのか、衆院選挙を受けての組閣人事、政権の安定に向けて連立の枠組みを拡大するのかどうかが大きな問題になる。

さらに、公明党の石井代表は小選挙区の埼玉14区で敗れ、比例代表との重複立候補をしていないため、議席を失うことが確実になった。

このほか、来月5日にはアメリカの新大統領が決まるのをはじめ、11月中旬にはAPECやG20サミットが控えている。来月下旬以降には、臨時国会を召集し、能登半島地震対策や物価高騰対策などを柱とする補正予算案の審議を行う必要がある。

このように内外に大きな懸案を抱えている中で、石破首相は選挙敗北の政治責任をどのような形で取るのか、今後の政権運営をどのような方針で行うか、早急に明らかにする必要がある。選挙後の政局は、大きく揺れることになる見通しだ。(了)

★追伸(28日午前11時)以上の原稿は、28日午前1時半時点のデータで執筆。 各党の最終確定議席と、公示前勢力との増減は以下の通りです。       ◇自民191議席-56。◇公明24議席-8 → 与党215議席、-64      ◇立憲民主148議席+50 ◇維新38議席-6 ◇国民民主28+21 4倍    ◇れいわ9議席+6 3倍 ◇共産8議席-2 ◇参政 3議席+2       ◇日本保守3議席+3 ◇社民1議席 ±0 ◇無所属(小選挙区)12議席-2   以上です。

 

“自公過半数割れ、裏金問題が政権与党を直撃” への1件の返信

  1. 衆議院選挙の最終結果がまとまる前の見通しが今一つ明確で
    ない時間帯に、最終見通しならびに今後の政局の不透明さに
    ついてまことに的確な分析、および本結果の受け止め方および
    今後の政局の動向についても考察がされており、大変良く
    理解できました。
    野党共闘が進まない中、ここまで立憲民主党が議席を伸ばす
    とは正直思っていなかったので、如何に国民が「自民党の
    汚い金の捻出および事態判明後の反省のなさ・居直り」に
    厳しい鉄槌をしたかということがわかります。
    選挙後の政局は、従来の与党勢力が継続して政権をとるにしろ、
    立憲民主党を中心にした野党勢力が政権を把握することになる
    にしろ、当面政局が大いに混乱するであろうことは喫緊の重要
    課題が目白押しの現在、我が国の行くすえにとって、マイナス
    であることは間違いのないことですが、さてどのような展開が
    待っていることか、心配の種が尽きません。
    とりあえず、自民党の「政治とカネ」の問題に国民が「ノー」
    を突き付けたことに、安堵いたしております。
    国民民主党とれいわ新選組の躍進は意外でした。

    今回は文章について気づいた点はありませんでした。

     10月28日  妹尾 博史

    政権j通来の閣下の

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