”乱気流国会”開会へ、予算審議の攻防

今年前半の政治の主な舞台となる通常国会が、今週24日に召集される。石破政権にとっては初めての通常国会で、政府予算案の年度内成立を最優先と位置づけているが、少数与党のため成立のメドはついていない。

野党側は、夏の参議院選挙をにらんで「年収103万円の壁」の見直しや高校授業料の無償化、予算案の修正などそれぞれの党の要求の実現をめざしているが、自民党が最終的に受け入れるかどうか、見通しはついていない。

一方、東京都議会の会派「都議会自民党」の裏金問題が明らかになり、自民党の派閥の裏金問題と合わせて「政治とカネの問題」が再燃することになりそうだ。

このように今度の通常国会は、懸案・課題が多いことに加えて、政権と与党、それに野党各党がそれぞれの思惑を抱えながら対決する複雑な構図になっており、どのような展開になるのか見通せないのが実状だ。別の表現をすれば、波乱要素が多い”乱気流国会”と言えそうだ。当面、どこが与野党攻防のポイントになるのか探ってみたい。

「都議会自民党」の裏金問題

通常国会の召集が近づく中で、政界では2つの問題が注目を集めている。1つは「都議会自民党」の裏金問題であり、2つ目はトランプ次期大統領の就任を受けて、石破首相とトランプ大統領との日米首脳会談がいつ行われるかだ。

このうち、「都議会自民党」の問題は政治資金パーテイーで集めた資金の一部、3500万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、東京地検特捜部が17日、会派の会計担当職員を政治資金規正法違反の罪で略式起訴した。

この裏金づくりに関与した都議は25人に及ぶとみられているが、立件を免れた。都議会自民党は「責任を重く受け止める」として、政治団体「都議会自民党」を解散するとともに近く政治資金収支報告書を訂正するとしている。

今回の問題は、裏金づくりが自民党の派閥だけでなく、党の地方組織でも行われてきたことを示すものだ。そして東京都議会だけでなく、他の地方組織でも行われているとみられている。自民党としても全国の地方組織について、実態の調査が必要だ。

裏金問題をめぐっては今度の通常国会で、野党側が旧安倍派の会計責任者の参考人招致を要求している。この会計責任者は去年有罪判決を受けたが、裁判の中で、安倍元首相が派閥の会長時代、資金還流の取り止めを指示した後、安倍氏の死去後「派閥の幹部議員が集まった会合で、還流やむなしという方針が決まった」と証言した。

この会計責任者の証言と、旧安倍派幹部が衆参の政治倫理審査会での弁明と食い違うことから、野党側には旧安倍派幹部の参考人招致や証人喚問を求める意見もあり、裏金問題の実態解明が改めて問題になる見通しだ。

また、「都議会自民党」の裏金問題は、夏の東京都議選だけでなく、その直後に行われる参議院選挙にも影響を及ぼすことになりそうだ。

石破・トランプ日米首脳会談のゆくえ

2つ目の石破首相とトランプ次期大統領との首脳会談をめぐっては、石破首相が19日のNHK日曜討論で「だいたいこの当たりでと言うことで、調整が進んでいる」とのべ、2月前半にも訪米し日米首脳会談を行う方向で調整が進んでいることを明らかにした。

この日米首脳会談が実現した場合、トランプ氏が強い意欲を示す関税の引き上げや、日本の防衛費の増額を求めてくるのかどうか、さらにはバイデン政権時代に強化された日米韓の連携や台湾問題への対応などについて、トランプ大統領がどのような考えを示すのか関心を集めている。

このほか、日本製鉄によるアメリカ鉄鋼大手USスチールの買収計画に対してバイデン大統領が禁止命令を出した問題についても、トランプ大統領との会談が注目される。

この石破・トランプ会談の評価はその内容次第だが、会談が実現して一定の信頼関係を築くことができれば、石破首相の国内での政治基盤の強化につながる可能性がある。衆院予算委員会の最中に日米首脳会談が行われることになるのかどうか、国内政治への影響という面でも注目される。

最初の難関、予算案の衆院通過

長丁場の通常国会の中で石破政権にとって最初の難関は、2月下旬から3月上旬にかけて予算案を衆議院で可決し、参議院へ送ることができるかどうかだ。自民、公明の与党だけでは過半数に達しないので、野党の一部の賛成が必要になる。

自民、公明両党は、国民民主党との間で「年収103万円の壁」の見直しをめぐって123万円まで引き上げることを決めたが、国民民主党は178万円まで引き上げるよう求め、話し合いは年明けに持ち越されている。

日本維新の会との間では、教育費の無償化、特に高校授業料の無償化をめぐって協議を続けているが、与党と維新との考え方には開きがある。

野党第1党の立憲民主党は、小中学校の給食費の無償化を維新、国民民主とともに求めているほか、新年度予算案にはムダな経費が含まれているとして、予算総額の修正を求める方針だ。

自民、公明両党は予算審議と平行して、野党側との個別の協議も続ける方針だ。そのうえで、最終的には予算案や税制改正法案の一部を修正してでも野党の協力をとりつけ、予算案の衆議院通過をめざすものとみられる。

こうした与党と野党側の調整の司令塔の役割を果たしているのが、自民党の森山幹事長だ。森山氏は国対委員長時代の人脈などを活かして、国民民主党と維新の両方か、いずれか一方の協力を取りつけるのではないかとの見方が与党だけでなく、野党側の関係者からも聞かれる。

問題は、思わぬところで与野党折衝のボタンの掛け違いなどで、合意のとりまとめが狂ってしまうことがある。今回は与党過半数割れを受けて、衆院予算委員長ポストが立憲民主党の安住氏に代わっていることもあり、予算委員会の採決の日程や段取りなども問題になる。

野党の一部の協力を得て、予算案の衆院通過ができれば、参院での予算成立まで近づくことになる。また、会期末に野党第1党の立憲民主党が内閣不信任決議案を提出する場合でも、野党の一部が同調しない可能性も大きくなる。

逆に予算案の衆院通過ができなくなると、政権が行き詰まることになる。したがって、与党と国民民主、維新、立憲民主の各党の政策協議のゆくえが進展するかどうかがカギを握る。同時に予算案の賛否と衆院通過の時期が通常国会前半戦の焦点になる。

波乱要素が多く、先行きが見通せない”乱気流国会”が、最終的にどのような形で決着がつくか、最初の関門である予算案の衆院通過を見ることによって判断できることになりそうだ。(了)

“”乱気流国会”開会へ、予算審議の攻防” への1件の返信

  1. まず、大見出しが秀逸に感じました。
    この見出しだけで、「波乱」が予想される国会運営が彷彿と
    想起されます。
    この国会運営における、最大課題となる「トランプ大統領との
    会談」と「自民党都議会の裏金問題」の二つに焦点をあて、
    与野党の立ち位置および思惑等について、分かり易く解説されて
    おり、政権の現状が大変良く理解できました。
    自民党のダーテイな「裏金つくり」は、自民党の体質的な悪習と
    して、全国の地方組織にも「蔓延」していることはほぼ間違い
    ないと思われます。
    石破政権がどこまで「悪」の根源を追及し、その根を断ち切る
    ことができるのかその「真価」が問われることになります。
    が、まず無理でしょうね!
    トランプ大統領との会談は、トランプ本人の「思惑」が読めない
    なか、大変難しい対応が求められることははっきりしていますが
    今後の日本の行く末をも左右するだけに石破首相の対応が注目
    されるところです。
    対応を間違えると日本は混乱極まる事態に陥りかねません!
    国民はかたずをのんで見守るしかありません。

    文章について
    ①「石破・トランプ日米首脳会談のゆくえ」の項
     3行目
     2月前半にも報米し日米首脳会談
     →2月前半にも訪米し日米首脳会談
      (報米 →訪米 誤字となっています)
    ②最後から5~4行目
     そのうえで、予算案の賛否と衆院通過の時期が
     →それゆえに、予算案の賛否と衆院通過の時期が
     (原文では、若干文章に違和感を感じますが……)
    ③最後から1~2行目
     見ていくと判断できる
     →見ることによって判断できる
     (原文では、若干文章に違和感を感じますが……)

     1月20日  妹尾 博史

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