石破首相とトランプ大統領との初めての日米首脳会談が2月7日(現地時間)にワシントンで行われる見通しになった。石破首相としては、会談を通じて個人的な信頼関係を構築し、日米同盟のさらなる強化につなげたい考えだ。
一方のトランプ大統領は1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国には10%の追加関税をそれぞれ課す大統領令に署名した。課税はいずれも2月4日からとしている。これに対しカナダなど各国は強く反発し、対抗措置を取る方針だ。
トランプ大統領は、就任式当日の先月20日に気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱や、感染症対策などに当たっている世界保健機関WHOから脱退など40を超える大統領令に署名したのに続いて、今度は関税引き上げといった”トランプ砲”を発射し始めたといえそうだ。
こうした中で、石破首相は6日から8日の日程で訪米し、トランプ大統領との会談に臨む予定だが、果たして成果を上げることができるかどうか日本側関係者の見方を聞いてみた。
楽観論と警戒論が交錯、予測不能?
自民党幹部の一人は「首脳会談の主な議題がどのようになるか聞いていないが、それほど心配していない。日米は『摩擦と協力』の連続だったが、いい智恵を出して乗り切ってきた」として、今回も難関を乗り切れるとの見通しを示した。
但し、こうした楽観論は少数派で、今回の首脳会談を危ぶむ見方が多い。石破首相は年末、麻生元首相と会談し助言を求めたのに対し、麻生氏は「トランプ氏には結論から言わなければダメだ」と語ると首相は「それが一番苦手だ」と漏らしたという。
また自民党内からは「安倍元首相とトランプ大統領との良好な関係は有名だが、”政敵の石破氏”のことがトランプ氏側にどのように伝わっているか。初対面の石破首相とトランプ大統領との相性が心配だ」との声も聞く。
さらに政府関係者は「トランプ大統領がどのような出方をするのか、正直わからない。予測困難だ」と話す。第1次トランプ政権発足前には、在日米軍の撤退にまで言及したことがある。「トランプ氏が関税の引き上げをちらつかせながら、防衛面の負担増を要求したりするのではないか」との警戒感も聞かれる。
ワシントン特派員経験者によると「石破首相や日本側が、トランプ氏に直接接触できたのは、これまで石破、トランプ両首脳のわずか5分間の電話会談だけだ。大統領の腹が読めないままトップ会談に臨むことになる」と懸念を隠さない。
このように日米首脳会談をめぐって、楽観論と警戒論などが交錯している。本当のところは「吉と出るか、凶と出るかわからない。予測不能な異例の首脳会談」というのが実態のようだ。
首脳会談の結果、政局にも影響
国会は衆院予算委員会の基本的質疑が始まったばかりの重要な時期だが、石破首相は1日の土曜日も首相公邸に林官房長官や外務省幹部らを呼んで、日米首脳会談に向けての打ち合わせなどに懸命だ。
石破首相は、日米首脳会談では中国による海洋進出や、北朝鮮の弾道ミサイル発射など東アジア情勢が厳しさを増していることから、安全保障分野に重点を置く考えだ。
具体的には、日本としては防衛費の大幅増額など防衛力の抜本強化に取り組んでいることを説明する一方、沖縄県の尖閣諸島にアメリカの防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が適用されることなどアメリカの関与を確認したい考えだ。
また、トランプ大統領が1期目に北朝鮮による拉致被害者の家族と面会したことも踏まえて、拉致問題の解決への協力も求める考えだ。
さらに、「自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョン」の推進に向けて日米の協力を確認したい考えだ。
一方、経済分野については、日本は過去5年連続でアメリカへの投資が世界一であることなどを説明するとともに、トランプ大統領が重視しているエネルギー分野について、天然ガスなどの資源の輸入拡大を図る考えを伝える方針だ。
問題は、こうした石破首相の提案に対して、トランプ大統領がどのような考えを示すのか。また、トランプ大統領はすべての国に一律に関税を課す方針は変えていないことから、関税の引き上げや、持論の防衛費増額などについて言及するのかどうかが注目される。
日米首脳会談がどのような結果になるのか、外交・安全保障や経済の分野だけでなく、今後の国内の政局にも大きな影響を及ぼす。石破首相にとって、政権運営の追い風になるのか、それとも新たな重荷となって逆風になるのか、重い意味を持つトップ会談になる。(了)
石破首相のトランプ大統領との初めての対面首脳会談を前に
各方面の関係者の「見方」を紹介し、我々がこの会談をどの
ように捉えればよいのかを、分かり易く論理だてて説明が
展開されており、大変良く理解できました。
我が国に最も影響力を持つそして「大統領令という強力な武器
」を持つアメリカの大統領に、人類の常識をはるかに逸脱する
トランプ大統領が就任し、日本のトップがどのように太刀打ち
できるのか、限りなく懸念が大きいことを強く強く警鐘され
ており、固唾をのんで経緯を見守る事態となりそうです!
とにかく今回の主張の核心は、「このように日米首脳会談を
めぐって、楽観論と警戒論などが交錯している。本当のところは『吉と出るか、凶と出るかわからない。予測不能な異例の首脳会談』というのが実態のようだ。」の文章に尽きると思います。
石破首相には、ものおじすることなく、しっかりと相手の目を
みすえて堂々と日本側の主張を行ってもらいたいです!
(おどおどと目を泳がせては絶対にダメです!)
今回は文章について気づいた点はありませんでした。
2月3日 妹尾 博史