新年度予算案をめぐる与野党の協議が、今週ヤマ場を迎える。国民民主党、日本維新の会に続いて、立憲民主党も予算修正の要求案をまとめたのを受けて、自民党は17日以降、野党3党と個別の協議を進める。
石破首相や自民党の森山幹事長は予算修正に応じる考えを固めており、政府・与党が最終的に野党の要求をどこまで受け入れるかが、焦点になっている。(新たな動きは、原稿最後尾に★「追記」があります)
野党3党要求出そろう、協議は個別
新年度予算案をめぐって立憲民主党は14日、予備費や基金から財源を捻出し、小中学校の給食費の無償化やガソリン価格引き下げなどを内容とする3兆8000億円規模の修正案をまとめ、自民党側に説明した。
立憲民主党案は、◇ガソリン税などの暫定税率を廃止して価格を引き下げるためにおよそ1兆5000億円、◇小中学校の給食費の無償化に4900億円、◇高校授業料の無償化に3700億円、◇介護や障害福祉に従事する職員の処遇改善に4200億円、◇患者の自己負担を抑える「高額療養費」の上限額の引き上げを凍結するための費用200億円などとなっている。
この立憲民主党案は、政府予算案全体を見直し、財源の捻出策と合わせて修正を求めているのが特徴で、17日以降、自民党との間で修正協議が行われる。
一方、日本維新の会は、高校授業料の無償化を強く主張しており、これまでに与党側は◇年間11万8800円の修学支援金を今年4月から公立・私立を問わず一律に支給することで、公立高校を実質的に無償化する案を示している。
さらに与党側は14日の会談で、私立高校の無償化に向けて現在、年収590万円未満の世帯の子を対象に年間39万6000円を上限に支給している修学支援金の所得制限を来年4月から撤廃するとともに支援金の上限額を引き上げると伝えた。
これに対し、維新の前原共同代表は、私立高校の支援金の上限額について、維新が主張する年間63万円にひき上げるよう求めている。また、ゼロ歳から2歳児までの保育や大学授業料など教育全体の無償化に向けて、年次ごとの計画を盛り込んだプログラム法を示すよう求めており、詰めの協議が行われる。
国民民主党は「年収103万円の壁」の見直しを去年秋以降、求めている。政府・与党は、所得税の控除額を123万円に引き上げる方針を示したのに対し、国民民主党は178万円まで引き上げるよう求めており、控除額が焦点になっている。
国民民主党からは、生活保護費の支給額を念頭に控除額を少なくとも156万円程度に引き上げるべきだとする意見が出ている。与党の公明党からは、食料品の値上がりなどを踏まえて140万円台後半とする案などが検討されており、3党の税調会長の協議が再開される見通しだ。
このように野党3党の要求には共通の内容も含まれているが、与党側との協議はそれぞれ個別に行われている。この背景には、野党各党とも夏の参議院選挙を意識して、与党側から譲歩を引き出し、その内容を成果としてアピールしたい思惑がある。野党の成果獲得合戦の側面もうかがえる。
与党の修正受け入れ内容が焦点に
新年度予算案をめぐる野党側との政策協議について石破首相は13日、自民党の小野寺政務調査会長を首相官邸に呼び「野党からいろいろな提案があり、しっかり耳を傾けて、いいものをまとめるよう努力してもらいたい」と指示した。
自民党の森山幹事長も15日、福島市で講演し、予算修正をめぐる与野党協議が来週、ヤマ場を迎えるという認識を示したうえで、「各会派の意見をしっかり聞いて、筋の通るものであれば修正をして、一つでも多くの会派の理解をいただきたい。年度内に成立させなければいけない」とのべ、予算修正に踏み切る考えを示した。
自民党は、維新と国民民主の両党を天秤にかけ、最後にどちらか一方の要求を受け入れて予算成立をめざすのではないかとの見方が一部にあった。これに対し、石破首相と森山幹事長は、できるだけ多くの野党の賛成を得て、予算案の成立をめざすものとみられる。
このため、自民党は維新と国民民主両党の主張について、さらに一定程度、受け入れるものとみられる。また、立憲民主党の要求についても、衆院予算委員長ポストを立民が握っていることから、最も重視している予算案の年度内成立を確実にするために一定の範囲で認めるものとみられる。
こうしたことから与野党協議では、与党が野党3党の要求をどの程度、受け入れるかが焦点になる。その結果、野党側のうち、どの党が予算案の採決で、賛成に回ることになるかも大きなポイントになる。
政府の当初予算案は、与党の基本政策を財政面で肉付けしたものだけに、野党が賛成に回るのは異例だが、少数与党政権の下では、野党の一部の協力がないと予算案が成立しないので、与党としては野党の賛成取りつけに懸命だ。
今のところ、立憲民主党が賛成に回る可能性は低いとみられる。維新と、国民民主党の両方か、あるいはどちらか一方の賛成になるのか。この予算案の賛否は、後半国会の展開にも影響してくる。
ここまで見てきたように少数与党に転じた石破政権は、予算成立と政権維持のためには予算案の修正に応じる以外に道はない。問題は、修正の出来具合が国民の納得のいく内容になっているのかどうか。野党の修正要求と実現に向けた取り組み方、それに与党側の判断を含めて、修正協議の結果をじっくり見極めたい。
★追記(18日午前9時現在)高校の授業料無償化について、石破首相は「与党と維新の会との協議が整えば、新年度予算案を修正する方向で与党とも相談したい」とのべ、予算案の修正に応じる考えを示した。17日の衆院予算委員会で、維新の前原共同代表の質問に答えた。石破首相が予算修正に踏み込んだのは初めて。現在、公立・私立を問わずに支給されている年間11万8800円の修学支援金の所得制限を4月から撤廃。また、私立高校を対象に年間39万6000円まで加算される支援金の上限額について、今後45万7000円まで引き上げることを検討する考え。
少数与党となった自公政権が、最重要項目としてかかげている
来年度予算案の今年度内の成立に向けて、どのような立ち位置
で臨もうとしているかについて詳しく説明されており大変良く
理解できました。
野党3党の各党が主張する修正内容の具体的説明および自民党
が予算成立に向けて各党との修正内容についての個別協議を
どのように受け止め、取り扱おうとしているのか丁寧に説明
されており、進捗状況も含めて納得しかりです。
また、野党3党のそれぞれの予算案修正に対する立ち位置やら
思惑についても考察されており一段と理解が進みました。
予算案採決の時に、各野党がどのような票を投じることに
なるのか今週以降の与野党の協議の行方が興味深く感じられ
ます。
今回は文章について気づいた点はありません。
2月17日 妹尾 博史