新年度予算案の成立に向けて参議院で大詰めの審議が続く中で、石破内閣の支持率が急落している。NHKの3月世論調査によると石破内閣の支持率は36%で、先月に比べて8ポイント下落した。不支持率は45%で、先月より10ポイントも増えた。
なぜ、今の時点で内閣支持率が急落したのか、石破首相の政権運営にどのような影響を及ぼすことになるのか探ってみたい。
支持率急落、高額療養費の混乱が影響
さっそく、NHKが今月7日から9日にかけて行った世論調査の内容から見ていきたい。石破内閣の支持率は36%で、先月の調査より8ポイント下落した。一方、不支持率は45%で、先月より10ポイントも急上昇した。
不支持の理由としては「政策に期待が持てないから」が39%で最も多く、先月より6ポイント増えた。次いで「実行力がないから」が23%で、こちらは先月と変わらなかった。
石破内閣の支持率は、去年10月の政権発足時は44%の低い水準のスタートとなった。その後は40%前後の支持率を維持してきたが、3月の36%はこれまでで最も低い水準に落ち込んだことになる。
この支持率急落の原因だが、がんや難病などの治療で医療費が高額になった場合、患者の自己負担を抑える高額療養費制度の見直しをめぐる政府側の混乱が影響したものとみられる。
衆議院の予算審議の中で患者団体や野党からは、自己負担の引き上げに反対する意見が出されたのに対し、政府側は引き上げ案の修正を重ね、対応が二転三転した。
さらに、この問題は参議院の予算審議でも取り上げられ、身内の自民党や公明党からも慎重論が出されたことから、石破首相が7日に患者負担の引き上げ全体を見送ったうえで、再検討する考えを表明した。
この見送りで、政府・与党はおよそ100億円の費用が必要になるとして、新年度予算案を参議院で再び修正したあと、衆院に回付する異例の対応が取られる見通しだ。与野党双方から「石破首相は、もっと早い段階で決断すべきだった」などの批判が聞かれた。この問題は、今後も尾を引くことになりそうだ。
続く難問、年金改革、企業団体献金
石破首相にとって、今の国会に提出を予定している年金制度改革関連法案の取り扱いも難問だ。この法案には、パートで働く人が厚生年金に加入できる企業要件を撤廃することなどが盛り込まれる見通しだ。
自民党内では、厚生年金の適用拡大につながり、今の国会で成立をめざすべきだという意見がある一方、参議院選挙への影響が懸念されるとして法案提出に反対する意見があり、調整がついていない。
一方、企業・団体献金の扱いについては3月末までに与野党が結論を出すことになっている。自民党は、献金の禁止ではなく透明化を図る法案を提出しているのに対し、立憲民主党などは禁止法案を提出しており、与野党の調整は難航が予想される。
さらに、トランプ政権は輸入される鉄鋼製品とアルミニウムに25%の関税を課す措置について、日本時間の12日午後、発動した。「全ての国が対象」としており、日本から輸出される製品にも関税が課されることになる。
こうした中で自民党の西田昌司参議院議員は、12日に開かれた党の参議院議員総会で「今のままの党の態勢では、夏の参議院選挙を戦えない。新たなリーダーを選び直すべきだ」として、石破首相に代わる新たな総裁を選び直すべきだという考えを示した。
こうした声が「石破降ろし」に発展するかどうかははっきりしないが、新年度予算案成立後は、夏の参院選挙に向けた体制づくりなどをめぐって党内の駆け引きが活発になることも予想される。
石破首相にとしては当面、新年度予算案の成立に全力を上げるとともに、党内の結束を固め直して夏の参院選挙に臨みたい考えだが、内外の懸案を着実に処理できるかどうか、正念場を迎えている。(了)
少数与党であるにもかかわらず、党内すらまとめきれない、さら
に指導力・決断力にも欠ける石破首相の政権運営が、国民の支持
率の急落となって惨憺たる事態を招いていることを大変分かり易
く説明されており納得しかりです。
これらは石破首相の手腕もさることながら、政府・自民党の政策
立案能力の「欠如」が大きな要因であると感じられます。
自民党議員の誰もが、自らの議席を維持することが最優先で、国
民の為になる政策の実現を行うという基本中の基本をないがしろ
にしているようにしか思えません!
そのいい証拠が各派閥が何年来、行ってきた政治資金パーテイで
集めた金の違法な「裏金つくり」であります。
したがって結論を出すことが差し迫っている企業団体献金の扱い
についても自民党は「こんなにおいしい金づる」を廃止するとは
とても思えません。
立憲民主党を中心に各野党が一致して企業団体献金の廃止に持ち
込めるか大きな見どころではないでしょうか。
文章について
最後から13~12行目
全ての国が対象としており、
→「全ての国が対象」としており、
もしくは
全ての国が対象であるとしており、
もしくは
全ての国を対象としており、
(原文では文章のつながりに違和感があります)
3月13日 妹尾 博史