”自民苦境、与党過半数困難な情勢”2025参院選

参議院選挙は20日の投開票日に向けて、各党とも最後の追い込みに入っている。ここまでの選挙情勢をみると自民党は選挙区だけでなく、比例代表でも勢いがみられず、苦しい戦いに追い込まれている。公明党も複数区で競り合いが続いており、改選議席の確保は厳しい情勢だ。

これに対して、野党側は立憲民主党が手堅い戦いを続けているほか、国民民主党と参政党の動きが活発で、特に参政党は支持率で第3位に急浮上するなど台風の目になっている。

こうした結果、自民、公明の与党が非改選を含め過半数を確保するのは難しい情勢になっている。最終盤に入った参院選情勢を報告したい。

 自民支持率大幅減、参政党が侵食

参議院選挙について、NHKが1週間おきに行っているトレンド調査の第3回調査結果(11~13日実施)がまとまったので、そのデータからみていきたい。

自民党の支持率は24.0%で、1週間前の第2回調査から4.1%下がった。1週間ごとに行うトレンド調査で、4ポイント余りも支持率が下落するのは異例で、自民党を取り巻く情勢の厳しさが鮮明になった。

自民党の支持率は6月月例調査(6月6~8日実施)で31.6%で、続くトレンド調査の第1回(6月27日~29日実施)で27.0%、第2回(7月4~6日実施)で28.1%だった。今回24.0%だったので、この1か月余りで7.6Pも下落したことになる。

一方、公明党の支持率は3.5%で、第1回調査の3.8%からほぼ横ばい状態が続いている。但し、前回・3年前の参院選での同時期は4.8%だったので、当時と比較すると低下している。

これに対して、野党各党のうち立憲民主党は7.8%で、前回調査とほぼ同じ水準を保っている。日本維新の会は3.1%で、前回調査から0.8P上がっている。

一方、国民民主党は4.9%で、トレンド調査第1回の5.8%から低下しているが、3年前の参院選当時は1.4%だったので、大幅に支持率を伸ばしている。

参政党は今回5.9%で、維新や公明、国民民主党を上回り第3位に急浮上した。6月月例調査で1.9%、トレンド調査第1回で3.1%、第2回で4.2%、そして今回第3回が5.9%なので、短期間のうちに支持率が急拡大したことがわかる。

参政党の支持層を年代別にみるとトレンド調査の第1回と第2回目までは、18歳以上を含む20代と、30代の若い年代の支持が目立った。第3回調査になると30代では国民民主党と並んで10.3%を占めて1位、40代では8.0%の3位、50代では10.2%で自民党に次いで2位、60代では5.8%で3位を占めている。

このように参政党の支持層は選挙の序盤では若い年代が主流だったのが、中盤からは40代以上の中高年に支持が広がっている。一方、自民党の支持層をみると同じ中高年世代では支持率が低下している。つまり参政党は、中高年世代を中心に自民党の支持層を侵食していることが読み取れる。

このほか、共産党は3.0%で前回調査からほぼ横ばいの状態にある。れいわ新選組も2.8%でほぼ横ばいだ。日本保守党は1.4%、社民党は0.7%となっている。

自公苦境、与党過半数は困難な情勢

それでは、以上のような各党の党勢を踏まえたうえで、選挙での獲得議席はどうなるだろうか。与野党の関係者の情報を総合すると次のような情勢が浮かび上がってくる。

自民党は、前回・3年前の比例代表選挙では18議席を獲得したが、今回は大幅に議席を減らす見通しだ。過去最も少なかった12議席前後まで落ち込む見通しだ。選挙区選挙のうち、2人以上の6人区までの複数区では13前後確保する見通しだが、これまで強みを発揮してきた1人区では厳しい情勢に追い込まれている。

全国で32ある1人区について、自民党は序盤戦では10程度の選挙区で優位に戦いを進めていたが、中盤になると接戦に持ち込まれる選挙区も出ている。最終的には、二けたの議席を確保できるかどうかという苦境に立たされている。

公明党はこれまで選挙区、比例代表ともに全員当選を続けることが多かったが、今回は比例代表の改選議席7を維持することは難しく、選挙区でも東京以外では厳しい戦いを強いられている。改選議席14の確保は難しい情勢だ。

自民、公明両党は、非改選を含め与党で過半数を確保するためには50議席が必要だが、今の選挙情勢が続けば、自民党は30台半ば、公明党は10議席前後に止まる見通しだ。このため、与党で50以上の議席を確保するのは難しい情勢にある。

 立民は堅調、国民・参政は躍進か

野党側の情勢は、どうだろうか。野党第1党の立憲民主党は、1人区や複数区では反自民票の受け皿となっている。一方、比例代表については支持の広がりがみられず、伸び悩んでいる。このため、改選議席の22から一定程度上積みし、20台後半の議席を獲得する見通しだ。

国民民主党と参政党は、大幅に議席を増やす見通しだ。このうち、国民民主党は3年前の参院選当時の支持率は1.4%程度だったが、今回は5%前後まで支持を広げている。比例代表で7議席前後、選挙区でも2ケタに近い議席獲得が見込めることから、目標の16議席前後まで議席を増やし躍進する可能性がある。

参政党は先の党勢でみたように投票日1週間前のトレンド調査では、自民、立民に次ぐ第3位まで支持率を伸ばしている。選挙区では、東京で議席獲得が有力になっているほか、大阪、埼玉など大都市圏で議席を獲得する可能性がある。

また、比例代表では8議席前後、獲得する可能性がある。そうすると参政党は比例代表と選挙区とを合わせると2ケタ、10前後の議席を獲得することも予想される。参政党も今の情勢を投票日まで維持できれば、躍進する可能性がある。

日本維新の会は、大阪・関西以外では支持が広がっておらず、改選の5議席をわずかに上回る程度に止まる見通しだ。共産党は改選の7議席を割り込む可能性がある。

れいわは改選議席が2だが、支持率は2.8%を確保しており、改選議席を上回る議席を獲得する見通しだ。保守党、社民党も議席を獲得する公算が大きい。

このように野党側は、立憲民主党が堅調なほか、国民民主党と参政党が大幅に議席を増やして躍進するのをはじめ、れいわが議席を増やすなど多党化が進むことになる見通しだ。

 高い投票意欲、投票率は上がるか

最後に投票率がどのようになるか、選挙結果にも影響を及ぼすので、見ておきたい。

NHKトレンド調査第3回によると今回の参院選に「必ず行く」と答えた人は48%、「期日前投票をした」16%を合わせると64%で、3年前の参院選の同時期に比べて5ポイント上回っている。

3年前と比べると年代別では、18歳以上と20代で15ポイント、30代で21ポイントもそれぞれ上がっており、若い世代で投票意欲が高いのが大きな特徴だ。

前回3年前の1週間前調査では「必ず行く」と「期日前投票した」が59%で、実際の投票率は52.05%だった。投票率は天候など様々な要因が絡むので、予測は難しいのだが、素直に読むと投票率は前回より上がるのではないかとみている。

投票率が上がる場合は、どの年代が多く投票したのか、それによって選挙結果にどのような変化が現れるのか、投票率を注目している。

去年の衆院選では与党が過半数を下回る結果になったが、今回の参院選はどのような審判が示されることになるのかが大きな焦点だ。有権者が投票に当たって、政策面の争点だけでなく、選挙情勢、選挙の勝敗面の予測も判断材料にしたいとの声を聞くので、毎回、議席予測を提供している。

今回の予測が当たるかどうかは別にして内外激動、日本の進路が問われる中で、できるだけ多くの皆さんが投票に参加し、賢明な選択が行われることを願っています。選挙後には有権者は何を選択したか、選挙後の政治の動きも取り上げる予定です。(了)

警告
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警告。

 

“”自民苦境、与党過半数困難な情勢”2025参院選” への1件の返信

  1. 書き出し:何で一番大切な「投開票日」を誤記するのですか!
    投開票日は22日ではなく7月20日(日)ですよ。

    NHKのトレンド調査をベースに今回の参議院選挙の議席獲得予想
    を分かり易くまた理路整然と解説されており、大変良く理解できま
    した。
    自公の議席激減予想はある程度そうであろうことは予想できます
    が、参政党への支持の急上昇は自分としては理解・納得ができない
    のが実のところです。
    単純に、「自民党にあいそをつかした保守層」がそれに代わる保守
    党として位置付けているのだとは理解するものの、参政等への極端
    な「かたより」はある意味日本の政治の変遷に恐怖を感じます。
    国民民主党への支持率も、党首の不倫問題、候補者擁立問題にもかかわらず、思いのほか根強いものがあるのも理解不能です。
    また、投票率の影響が大きく選挙結果を左右するだろうことも十分
    あり得ることですし、さらには期日前投票が大きく増加している事
    も、いわゆるマスコミによる選挙動向の投開票日に向けての報道の
    変化とどれだけ関連性を持ちうるのかも懸念されるところだと思い
    ます。
    選挙後の政情変化がどのようなものになるのか、期待と不安があい
    半ばといったところです!

    文章について
    最後から11行目
     選挙結果にどのようは変化が現れるのかを含めて
     →選挙結果にどのような変化が現れるのかを含めて
      (どのようは→どのような)

     7月16日 妹尾博史

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