“大義なき解散” 通常国会冒頭解散へ

衆議院の解散・総選挙をめぐって高市首相は14日夕方に与党幹部と会談し、23日に召集される通常国会の早期に衆議院を解散する意向を伝えた。これによって、通常国会冒頭で衆議院が解散され、来月に総選挙が行われることが確実な情勢になった。

この通常国会冒頭解散をどのようにみたらいいのだろうか。私は50年近く政治取材を続けているが、一言で言えば”大義なき解散”といわざるを得ない。今回ほど政権の自己都合優先の解散は記憶にない。

というのは高市首相は新年5日の年頭の記者会見で、衆院解散の可能性を問われ「国民に高市内閣の物価高対策や経済政策の効果を実感していただくことが大切だ」とのべ、衆院解散より政策実現を優先させる方針を力説していた。こうした方針を覆して、国民に信を問う理由や大義が見あたらないからだ。

また、通常国会冒頭で衆議院が解散されると、国民生活に直結する新年度予算案の審議はできなくなくなり、予算案の年度内成立は不可能になる。新年度予算案の審議を取り止めてでも、衆議院の解散・総選挙を急ぐ理由があるとはとても思えない。

さらに、全国の地方自治体は今、自らの新年度予算案の編成に取り組んでいるのをはじめ、国の物価高対策に対応するための事業への対応にも当たっている。加えて衆院選挙の準備が追加されることになり、自治体への負担は重い。

高市首相は自民・維新幹部との会談の中で、解散に踏み切る理由として「連立政権のパートナーが公明党から維新に変わったこと。『責任ある積極財政』や防衛三文書の見直しなど新しい政策打ち出したことから、国民の審判を受ける必要がある」と説明したという。

だが、こうした点であれば、去年の政権発足直後でも可能だったし、新年度予算案が成立する3月末以降でもできるのではないか。”解散の理屈は、後から貨車でついてくる”と言われてきた格言そのもので、説得力は乏しい。

高市首相としては「衆議院は無所属議員の参加でようやく過半数に達したが、参議院では与党過半数割れという苦しい状況にある。衆院選挙で議席を増やし、政権の求心力を高め、政策を推進したい。内閣支持率の高いうちに解散に打って出て勝利したい」との思いはそれなりにわかる。

しかし、前回衆院選挙からまだ1年2か月余り、任期の半分も経っていない。去年夏には、参院選も行われたばかりだ。政治にはそれなりのタイミングというものがある。

さらに、解散・総選挙を行うか否かという重大な方針決定の進め方にも問題がある。今回の冒頭解散方針は、高市首相と首相官邸の限られた側近だけの協議で決まり、自民党の幹事長などの役員にも知らされていなかったとされる。政党政治のあり方からも逸脱するのではないか。

このように今回の通常国会冒頭解散は「政権の都合優先」「大義なき解散」と指摘されても仕方がないのではないか。高市首相は19日に記者会見を行う予定だが、解散の理由や大義名分などについて明確な説明を願いたい。

政治のあり方を含め国民の選択がカギ

衆議院選挙は国民が国の政治に意思表示できるので、本来、歓迎すべきことだ。したがって衆院解散・総選挙が確実な情勢になった以上、選挙に関心を持ち、1票を投じていきたい。

懸案・政治課題は山積み状態だ。物価高対策をはじめとする経済・財政政策は待ったなしの状態だ。賃金引き上げや日本経済立て直しへの具体的な方法や道筋が提示されるかどうか。人口減少社会と社会保障制度、日本の防衛や外交をどのような方針で臨むのかが焦点になる。

また、先送りが続いて生きた「政治とカネの問題」に今度こそ、結論を出すことが必要だ。そして、新しい政治の姿・形をどのように構想していくか、これからの大きなテーマだ。

さらに、立憲民主党と公明党とが新党結成を視野に選挙協力の調整を始めるなど新たな動きもでている。中道勢力の結集をめざしているものとみられ、調整が進めば、衆院選挙の構図を変える可能性もある。

衆議院が解散されればどの候補者、政党を選ぶのか。しばらくの間、私たち国民が主役で決定権を持つ。内外激動が続く中で、どのような社会をめざすのか、新しい政治のあり方にどう取り組むのか、若い世代の皆さんとともに熟慮の1票を投じたい。(了)

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