”構図一変の与野党対決”2026衆院選挙

第51回衆議院選挙が27日公示され、2月8日の投開票日に向けて、真冬の選挙戦が始まった。立候補の受け付けは27日夕方5時で締め切られ、小選挙区に1119人が立候補し、比例代表には単独で166人の合わせて1285人が立候補した。

今回の選挙は高市政権の発足に伴って政権の枠組みが変わり、新党も結成されるなど与野党の構図が大きく変化する中で、自民・維新連立の高市政権が継続するのか、それとも野党が勢力を伸ばして、これを阻止するのかが焦点だ。

また、衆議院の解散から投票日までわずか16日間で戦後最短、厳寒の2月の投開票は36年ぶりという「異例づくめ」の選挙になっている。

与野党の選挙戦の構図はこれまでとどこが変わっているのか、序盤の選挙情勢はどのようになっているのか、世論調査のデータなどを基にみていきたい。

 自民・中道対決が軸、新興勢力も競合

衆議院の総定数465のうち全国に289ある小選挙区について、各党の候補者擁立状況からみていこう。定数全体の6割を占め、選挙のゆくえを左右する。

◇自民党は最も多い285人を擁立したのに対し、◇立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合は選挙前勢力より30人近く多い202人を擁立した。◇日本維新の会は87人で、前回・2024年衆院選にくらべると半分近く少なくなっている。

一方、去年夏の参院選で躍進した◇国民民主党は102人、◇参政党は182人が立候補しており、2024年と比べると倍以上に増やしている。◇共産党は158人、◇れいわ新選組18人、◇減税日本・ゆうこく連合13人、◇日本保守党6人、◇社民党8人、◇チームみらい6人、◇諸派と無所属52人となっている。

▲こうした小選挙区で各党の戦い方はどうなっているか。まず、与党の自民党と維新は、小選挙区全体の3割にあたる80余りの選挙区で、与党の候補者同士が競合している。一方、維新は公認候補を擁立していない、およそ130の選挙区では自民党候補を推薦するという複雑な形になっている。

▲与野党が真っ向から対決する形になるのが、自民党と中道改革連合との戦いだ。両党が同じ選挙区で対決するのは、およそ200の選挙区に上る。全体の7割にあたり、小選挙区では、この自民対中道の2大勢力の対決が軸になっている。

ただ、自民、中道両党の候補者による一騎打ちは、20選挙区余りに止まる。今回は、国民民主、共産、参政の各党からそれぞれ100人以上が立候補し、野党の候補者が重なるためだ。

これまで立憲民主党は、自民党に対抗するため、国民民主、共産、社民各党と候補者の一本化を図り、前々回・2021年衆院選では、野党統一候補は217選挙区に上った。今回は野党間の協力よりも、競合が目立つ形に変わっている。

▲一方、与党側も自公連立時代は、小選挙区でも与党間で住み分けが行われたが、自民・維新連立では、維新が地盤とする大阪をはじめ、関西や東京など都市部で、与党同士の競合が多いのが特徴だ。

▲このように今回の小選挙区の戦い方の構図は、与党内の関係をはじめ、与党と野党との関係、それに野党内の関係も従来とは大きく異なっており、こうした複雑な構図が、選挙結果のゆくえを読みにくくする原因になっている。

 序盤情勢 高市内閣支持率は下降傾向

それでは次に、序盤の選挙情勢はどのようになっているか、NHKの世論調査(1月23~25日実施、投開票日2週間前)がまとまったので、そのデータを中心にみていきたい。

▲高市内閣の支持率は59%で、2週間前に行った調査(1月10~12日実施)より3ポイント下がった。不支持率は26%で、5ポイント上がった。高市内閣の支持率は11月66%、12月64%と高い水準を維持してきたが、1月になって60%を割り込み、下降傾向が現れている。

▲高市首相が政権の信任を問いたいなどとして、衆議院を解散したことについては「妥当だ」が34%に対し、「妥当ではない」が49%で否定的な評価が上回った。

こうした衆院解散に踏み切ったことに対する批判的な受け止め方が、支持率下落につながったものとみられる。

▲今回の選挙で、与野党の勢力がどのようになればよいと思うか聞いたところ、「自民党が単独で過半数を占める」が24%、「与党が過半数を占める」が22%、「与党と野党の議席が同じくらい」が32%、「野党が過半数を占める」が11%だった。

自民単独過半数と、与党で過半数を合わせても5割に達していない。一方、野党で過半数、それに与野党同数を合わせても4割程度で、与党、野党ともに世論の多くの支持を得られている状況にはなっていない。

▲物価高対策として、消費税をどうすべきだと思うかとの質問については、「今の税率を維持すべき」が19%、「食料品などに限定して税率を引き下げるべき」が40%、「消費税そのものを廃止すべき」が14%だった。

▲立憲民主党と公明党が設立した新党「中道改革連合」に期待するかどうかについては「大いに期待する」が9%、「ある程度期待する」が23%、「余り期待しない」が28%、「全く期待しない」が32%だった。

「大いに期待」と「ある程度期待」を合わせた「期待」が32%、「余り期待しない」と「大いに期待しない」を合わせた「期待しない」は60%。中道連合にとっては、新党への期待感が広がっていないことが読み取れる。

▲各党の政党支持率は◇「自民党」35.9%、◇「維新」3.3%。野党側は◇中道改革連合7.9%、◇国民民主党4.4%、◇立憲民主党2.3%、◇公明党1.7%、◇参政党3.5%、◇「れいわ新選組」0.7%、◇日本保守党0.5%、「社民党」0.4%、「チーム未来」0.8%、◇無党派25.7%だった。

自民党は、2週間前に比べて3.7ポイント増えているが、前回・2024年衆院選の同時期35.1%とほぼ同じ水準に止まっている。つまり、高市内閣の高い水準は、自民党支持率には連動していない状況は変わっていないことが読み取れる。

中道改革連合は、野党では第1党の水準だが、両党の従来の支持率を合わせると10%に達するが、新党はその水準にも達していない。中道は、立民・公明のそれぞれの党は残したまま、衆議院議員だけで結党する変則的な状況にあり、新党の存在をどこまで国民に浸透できるかが大きな課題になっている。

国民民主や参政党は、野党の中ではそれぞれ第2党、第3党の支持率の水準を確保しているが、去年夏の参議院選挙当時の支持率からは低下している。

このように自民、中道、新興勢力のいずれも世論の追い風を受けるまでには至っていない。一方、有権者の側からみると、どの政党・勢力が政権を担う勢力としてふさわしいか、見定めようとしているのが今の状況ではないかとみている。

衆院選、与野党勝敗のケース

衆議院選挙の議席獲得目標について、高市首相は「自民・維新の与党で過半数」をめざす考えを重ねて表明し、できなければ「即刻退陣する」と明言している。

これに対し、自民党内からは「与党は過半数まで3議席足りない程度で、勝敗ラインとしては余りにも低すぎる」として、「自民党単独で過半数」をめざすべきだとする見方もある。

一方、「高市内閣の高い支持率が、自民党の議席増につながるかどうかはっきりしない」として、慎重な見方もある。

このため、今回の衆院選については、◇自民党単独で過半数を獲得するケース、◇自民・維新の与党で過半数を獲得するケース、◇与党でも過半数割れし、代わって中道改革連合が比較第1党、新興勢力も議席増のケースなどが想定される。勝敗面ではどのケースに決着がつけられるのかが、今後の大きな焦点だ。

ここまで衆院選挙の構図と選挙情勢を中心にみてきたが、政策面の議論も有権者に大きな影響を与え、勝敗の行方を左右する。政策面では、高市首相が進めようとしている「責任ある積極財政」やインテリジェンス機能の強化などの是非をはじめ、消費税の扱いを含む経済政策が主な争点になっている。

また、激動する国際情勢を踏まえた外交・安全保障政策や、少子化対策と社会保障、外国人政策、政治とカネの問題など論点は多い。超短期の政治決戦だけに与野党が掘り下げた議論を徹底して行い、有権者に選択肢を提示することが問われている。(了)

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