高市首相は19日夜、首相官邸で記者会見し、23日に召集される通常国会冒頭で衆議院を解散し、総選挙を行うと表明した。選挙日程は27日公示、来月8日の投開票の日程で行うことを正式に表明した。
衆議院選挙の議席獲得目標について、高市首相は与党で過半数をめざすとしたうえで、総理大臣としての進退をかけるとのべた。
私たち国民は、異例の通常国会の冒頭解散をどのように受け止めたらいいのだろうか。衆院選のゆくえに大きな影響を及ぼすので、高市首相の記者会見の中身を中心に分析してみたい。
衆院解散の大義はあるのか
まず、国民が聞きたいのは、国民生活に直結する来年度予算案の審議を取り止めてまで、なぜ今、通常国会の冒頭で解散する必要があるのか。首相の解散理由に大義はあるのかという点だろう。
高市首相は「高市早苗が内閣総理大臣で良いのかどうか、主権者たる国民に決めてもらうしかないと考えた。自民・公明の連立の枠組みが、維新との連立に変化した。また、政策のギアを上げる。『責任ある積極財政』や安全保障の抜本強化といった国論を二分するような大胆な政策に果敢に挑戦するためだ」と説明した。
この発言をどう見るか。連立の枠組み変化と高市政権の主要政策も去年10月の内閣発足当初からわかっていた。そうであれば、年内に国民に信を問うか、あるいは来年度予算案を3月末までに成立させた後、衆議院解散に踏み切るべきではないか。
また、高市首相は政権発足直後の記者会見から、年末、さらには新年5日の年頭の記者会見まで「今すぐに解散どうのこうのと、言っている暇はない」「目の前でやらなければならないことが、山ほどある」などと解散は眼中にないとの発言を繰り返してきた。自民党幹部から「首相は政策の人だ」などの声が聞かれたほどだ。
それだけに国民からは「物価高対策優先、実績重視の立場ではなかったのか。約束破りで、政局優先へと豹変してしまった」などの不信や不満の声も聞かれる。
さらに、昨夜は赤い重厚なカーテンがひかれた会見場で高市首相は「高市早苗が内閣総理大臣で良いのかどうか国民に決めてもらう」と宣言した。衆院選の大勝負にかける自らの決意をアピールしたかったのだろう。
高市内閣の支持率が8割近くを占める40代以下の若い世代には、こうした主張と演出は、政治生命をかけて難題打開へ打って出るリーダーとして、強く印象づける効果はあるのかもしれない。
ただ、日本の衆院選は首相公選ではなく、議員内閣制で、政党に所属する議員を選ぶ政党本位・政策本位の選挙が基本だ。内閣の高支持率を与党の議席につなげようとするねらいがあるのではないかと疑念を招くおそれもあるのではないか。
このようにみてくると今回の通常冒頭解散について私個人は、残念ながら説得力には欠け、解散の大義は乏しいと言わざるを得ない。国民の中にも「納得いかない解散」と受け止めた人がかなりいるのではないか。世論調査でどのような結果が出るかみてみたい。
私ごとで恐縮だが、政治取材を続けて50年近くになる。昭和の時代は、変な選挙もあったが、「有権者の絶妙なバランス感覚が発揮された選挙」(ある派閥領袖)も多かった。最近は「奇襲解散」、「けたぐり解散」が増えたように感じる。政治の王道、正々堂々と国民に信を問う選挙を粛々と追求する以外に道はない。
超短期決戦、政策論争徹底の責任
ここまで冒頭解散の評価を中心にみてきたが、衆院選挙は本来、国民にとって政治に自らの意思を反映させることができるので、歓迎すべきことだ。
その衆院選挙は、今週23日の通常国会冒頭に解散され、来月8日に投開票になる。解散から投開票日までわずか16日間、戦後最も選挙期間が短い選挙になる。
衆院選挙の構図は、自民党と新党「中道改革連合」の対決が軸になる見通しだ。自民党の衆議院議員は196人に対し、立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合は、立民の衆院議員の全員が参加すれば172人の規模になる。
自民党は連立を組む維新とは選挙区調整を行わないほか、長年続いた公明党からの選挙協力を受けずに自力の選挙戦となる。維新は衆院選は独自に戦うのを基本にしているほか、都構想の実現に向けて大阪府知事と大阪市長がいったん辞任し、再び立候補してダブル選に臨む。
他の野党では、国民民主党は、中道改革連合には参加しない独自路線をとるほか、参政党、れいわ、共産、保守、社民、みらいの各党もそれぞれ党勢の拡大をめざす。新たな構図で、激しい選挙戦となる見通しだ。
超短期の政治決戦になるので、各党・候補者は選挙の争点を明確にして、政策論争を徹底して深めていく責任がある。内外ともに難題が山積しており、私たち国民の側も論争に耳を傾け、熟慮の1票を投じたい。(了)
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高市首相が19日の記者会見で、通常国会開催日冒頭の23日に衆
院の解散・総選挙を行うことを宣言したことを受けて、その発言内
容およびその狙いとしたところを分かり易く説明されており、大変
良く理解できました。
個人的に今回の通常国会冒頭の解散の意図しているところを一言で
言うならば、「高市首相個人の権力に奢った茶番劇に過ぎない」と
いうことではないでしょうか!
貴殿も指摘しているように、あたかも国民が首相を選ぶがごとく
論理のすり替えを行い、政局をもてあそんでいるだけです。
この暴挙により、さらなる政治空白を生むばかりか、超高額の選挙
費用(税金)の無駄遣いを行い、年度末を控えて超多忙の地方自治
体の関係者に「余分な仕事」を押し付けることになるのです!
ただただ高市首相の権力の座に固執する野望のためにだけの暴挙
が、どれだけ国民が迷惑を被ることになるのか声を大にして叫びた
い!
とはいえ、国民に与えられた選挙の行使に当たっては、慎重に各
候補者の主張の内容を判断し、賢明なる一票を投じることが求め
られます。
短い選挙期間ではありますが、我が国の将来を決める大事な選挙で
あることを、ゆめゆめおろそかにしてはならないと強く思います。
文章について
①「衆院解散の理由、大儀はあるのか」の項
小見出し
「衆院解散の大儀・理由はあるのか」
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②同じ項
22~23行目
国民に決めてもらう」との宣言した。
→国民に決めてもらう」との宣言を行なった。
もしくは
→国民に決めてもらう」と宣言した。
③「超短期決戦、政策論争徹底の責任」の項
5~6行目
戦後最も短い選挙になる。
→戦後最も選挙期間が短いものとなる。
( この方がよくないですか )
1月20日 妹尾 博史