内閣支持率低下、首相不信急増の読み方

臨時国会が閉会した。歴代最長になった安倍政権や臨時国会での野党の追及ぶりなどについて、世論はどのように判断しているか。

報道各社の世論調査のデータを分析してみると、安倍内閣の支持率は低下傾向が表れ、安倍首相の人柄に対する不信も急増していることが浮き彫りになった。

一方で、「桜を見る会」を追及してきた野党の支持率も増えていない。
政権・与党、野党側の双方とも世論の支持を得ることができていない。これからの政権運営、政局にどんな影響を及ぼすか、分析をした。

 内閣支持率低下、鮮明に

報道各社の世論調査のうち、最新のNHK世論調査を見ると安倍内閣の支持率は45%で前回調査から2ポイント減、不支持は37%で2ポイント増加となった。
支持と不支持の差は、8ポイント差に縮まった。

夏の参議院選挙が終わった後の8月以降の支持率は49%だったので、トレンドは連続して下がり続けており、12月の45%となった。逆に不支持は、8月は31%だったのが、37%まで6ポイント増えたことになる。
(調査は12月6日から8日、詳細なデータはNHKWebニュースに掲載)

主な新聞・通信社の11月の世論調査で見ると、内閣支持率の下落幅が最も大きかったのは◇日経で7ポイント減、◇読売と産経は6ポイント減。◇共同通信は5ポイント減など。下落幅は異なるが、共通しているのは、支持率は40%台半ばから後半、不支持率は30%半ばから後半。つまり、支持、不支持は接近しつつある。

 首相に対する不信急増

問題は、内閣支持率の中身だ、NHKの世論調査データを基に分析してみる。
◆支持する理由は、「他の内閣から良さそう」が49%、「支持する政党の内閣」が17%で、消極的支持が多い。政策や実行力などを評価する意見は少ない。

◆不支持の理由については、「人柄が信頼できない」47%で圧倒的、「政策に期待が持てない」は26%。安倍首相に人柄に対する不信は、11月調査では35%だったので、12ポイントも急増したことになる。

「桜見る会」説明 納得できない7割

世論調査の質問の中で、首相主催の「桜を見る会」の問題について、安倍首相の説明に納得できるかどうか聞いている。◇「納得できる」は18%に止まり、◇「納得できない」は71%、7割にも達している。
安倍首相に対する不信感の理由は、この「桜を見る会」の問題が大きく影響していることが読み取れる。

政権運営への影響は?

それでは、安倍首相の政権運営への影響はどうだろうか。
NHKの世論調査で12月の支持率45%だった。今年1年・2019年の支持率の平均を計算すると◇支持率は46%、◇不支持34%。(今年は、10月調査が台風の影響で調査を中止したので、11か月の平均になる)

第2次安倍内閣の支持率の年間の平均では、2013年が61%、2014年51%に低下、2015年は46%、2017年47%に持ち直し、2018年は42%に低下した。政権発足から7年が経過したが、支持率は4割をキープし、支持と不支持の逆転を7年間も防いできたのは異例で、巧みな政権運営を続けてきたと言える。

この理由としては、経済・雇用情勢が安定していること。自民党内でのライバル不在。さらには弱い野党、政権が看板政策を次々に打ち出し、国政選挙で連戦連勝を続けていることが挙げることができる。

以上のことから、今回の支持率低下で直ちに政権運営に支障が出てくるとは言えないというのが、私個人の見方だ。問題は、超長期政権のこれからどうなるか。

 野党の政党支持率、伸びず

野党各党に対する世論の評価はどうだろうか。
政党支持率を見ると◇自民36.1%、◇公明2.7%。野党側は、◇立憲民主5.5%、◇国民民主0.9%、◇共産3.0%、◇社民0.7%。◇維新1.6%、◇れいわ0.6%、◇N国党0.1%。◇”第1党”は無党派で41.4%、有権者の4割にも膨らんでいる。

野党側は、先の国会で2閣僚辞任、英語民間試験の導入問題、「桜を見る会」を軸に追及を強めた。野党は、「桜を見る会」追及ばかりと批判する声も聞くが、
野党が政権を追及するのは野党の仕事で、税金の使われ方を厳しくチェックするのは、ある意味、当然とも言える。問題は、それだけに止まっていることに限界があり、世論の支持は広がらないことではないか。

具体的には「桜を見る会」について言えば、公文書の廃棄の問題。官僚がなぜ、記録を残さないのか、残させるためにどうするのか欧米並みのルールづくりを徹底させることはできないものかどうか。政権与党もあまりにも鈍感だ。

今の公文書管理のずさんさは目に余るものがある。自民党政権でも、これまでは歴史の検証に耐えられる政権運営をめざす心意気があった。今の政権は、余りに後ろ向きの姿勢ではないか。

野党側は、不祥事・スキャンダル追及するのはいいが、それだけに止まらず、事態を改善する提案・取り組みを世論は求めている。年明けの通常国会での対応を見守りたい。

 衆院解散・総選挙への影響は?

永田町の一部には、年明け解散。事業規模26兆円の大型補正予算案を成立させた後、衆院解散・総選挙があるのではないかとの声も聞く。
また、これから政権に好材料は乏しいので、与党としては早期解散が有利だ。
さらには、安倍首相は政界の常識より、早めの解散に打って出て、勝利してきたので、年明け解散もあり得るのではないかとの声も聞く。果たしてどうか?

衆院解散・総選挙の時期について、断定的に言えるだけの材料・根拠はない。
但し、世論の側から見ると「早期解散への期待」はほとんどないのではないか。今年は大型台風、大雨の被害が相次ぎ、生活・生業の立て直しに迫られている人たちは全国各地に多い。そうした中で、国民に信を問う大義名分は見いだしにくい。

内閣支持率も、支持と不支持の差は10ポイント程度まで縮まっている。つまり、5ポイント以上変化すると、支持と不支持が逆転する。

さらに、安倍首相に対する不信感が急増していることなどを冷静考えると、正直な所、選挙戦術上も早期解散の理由は見いだしにくい。敢えて解散・総選挙に踏み切ると、世論の反発を招き、混迷の道に陥るのではないかと危惧している。

それよりも、政権、与野党とも、日本が直面している難問、人口急減社会、技術革命時代への対応をどうするのかなど「今後の進路・構想」をとりまとめ、国民に信を問う正攻法の取り組み方を見せてもらいたいと切望している。

 

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