中道改革連合、立憲民主党、公明党の3党党首が31日夕方、国会内で会談し、これまで進めてきた3党の合流を断念することを確認した。
これを受けて、衆議院議員で構成する中道改革連合は、立憲民主党系と公明系に分裂する見通しで、分党など具体的な方法の検討に入った。
中道の小川代表は会談後の記者会見で「中道勢力の拡大と政権交代に向けて党に集まった仲間が再軌道していくための新たな形態を見いだしたい」として、衆議院での統一会派の結成をめざすを示した。
秋の臨時国会を前に衆議院の野党第1党である中道が分裂すると、野党の多党化と弱体化がさらに進む。私たち国民は、こうした野党の現状と政治のあり方をどのようにみたらいいのか考えてみたい。
衆院選1千万票の重みと政党の責任
中道、立憲民主、公明の3党代表は党首会談終了後に記者会見に応じたが、3党の代表の発言内容に納得した国民は少なかったのではないか。
中道の小川代表は、その後の会見も含めて記者団から「これからめざす新たな形態とは何か」「衆院の統一会派は実現可能か」などの質問に対して、「今の体制のままではない。具体的なことは申し上げられない」との説明を繰り返した。
立憲民主党の水岡代表は「3党の協力・連携のスタートにしたい」とのべたほか、公明党の竹谷代表は「中道の対応を見守りたい」などとのべるに止まった。3党合流が頓挫した後、それぞれの党がどのような方向に踏み出すのかを聞きたかったが、3党の代表からは踏み込んだ言及はなかった。
中道改革連合は、中道勢力の結集と政権交代を掲げて先の衆院選に挑戦したが、選挙前の172議席から49議席へ激減・惨敗した。だが、比例代表選挙でみると1043万票を獲得した。自民党の2102万票次いで、2番目に多い得票だ。中道に1票を投じた有権者の思いにどのように応えるのか政治家の責任は極めて重い。
また、新党結成から衆院選を経てわずか7か月で瓦解することになったことは、政党として国民の期待に応えることができず、国民の政治に対する不信感を一段と強めたことも重く受け止める必要がある。
少数野党分立と野党弱体化の加速
それでは野党の陣営は今後、どのようになるのだろうか。まず、今の衆議院の勢力は野党第1党が中道で49人、次いで国民民主28人、参政15人、みらい11人、共産4人などとなっている。
中道が分かれると公明系が28人、立憲民主党系11人となる。野党第1党は、国民民主と公明となるが、いずれも30人を下回る小規模野党第1党だ。これまで想定していなかったような少数野党の分立国会となる。
自民党は316議席、単独で衆議院の3分の2を上回り、戦後最も多くの議席を獲得した。連立を組む維新は36人で、与党の自民・維新で352人と全体の4分の3を占める。衆議院は「自民1強・弱小野党」の構図が一段と進むことになる。
中道の小川代表は、将来の中道勢力の結集と衆院で野党第1会派をめざして、公明系などと合わせて統一会派の結成をめざしている。公明党は参議院では立憲民主党との統一会派の結成に応じなかったが、衆議院ではどのような方針で臨むか、注目される。
参議院は衆議院と異なり、自民党は101人で、維新の19人を合わせても120人に止まり、総定数248の過半数に達しない。これに対して、野党は立憲民主が40人、国民民主25人、公明21人、参政15人、共産7人、いのち5人、保守2人、みらい2人などと続く。
衆院は巨大与党、参議院は与党過半数割れで、「衆参ねじれ国会」となっているが、3党合流断念をとらえて自民党が今後、参院で多数派工作などを強めることが予想される。
政権監視の”しっかりした野党”が必要
これからの政権と野党はどのような役割が求められるのだろうか。国民の考え方も、強い政権が思い切った政策を次々に断行する政治を期待する人もいるだろうし、支持する野党を中心に政権交代を望む人もいるだろう。
ただ、国民の考え方は多様化していることと、どの政党が政権を握るようになっても公正な政治を進めるためには、政権を監視し政策をチェックする野党が必要だ。そうした野党がいない場合、強力な政権ができたとしても次第に緩みが生じて、国民の期待に反するような政治に逸脱するおそれもある。
今回は中道勢力を結集する試みは失敗したが、政権や政策をチェックする野党の必要性とは別の問題だ。政権監視などができる、しっかりした野党の存在は必要だ。そして政権交代可能な政治体制についても必要と考える国民は多いのではないか。そのための野党勢力の結集が問われているということだろう。
さて、衆議院では中道が分裂した場合、公明系の議員は公明党に復党する可能性が大きいとみられる。その場合、公明党が与野党のどの政党と連携を深めていくのか、今後のカギを握る。
一方、中道の立憲民主系の議員は、新党を結成することになるのか、あるいは離党する議員が出てくるのかどうか、さらには落選中の議員がどの程度参加するかも問われる。
野党の陣営は、中道や国民民主、公明、参政、共産など各党が乱立し、それぞれ党の理念と独自の政策を主張し合う中で、野党の勢力が小異を残して大同につくことができるのか、野党勢力の結集や再建は険しい道が予想される。
一方、高市政権にとっては、中道の分裂は野党勢力に楔を打ち込むことができ、有利に働くものとみられる。高市首相は秋の臨時国会で、悲願の食料品の消費税率を1%に引き下げる法案を成立させるとともに、「責任ある積極財政」などを掲げて、高市カラーの濃い政策を強力に展開していくものとみられる。
これに対して野党陣営は、消費減税などに対案をまとめて対峙していくことになるのか、それとも野党陣営が切り崩されて守勢に回ることになるのか。秋の政治は、経済・財政の動向とも絡んで、複雑で波乱含み展開になるのではないかと予想している。(了)
★追記(3日13時)内閣改造と自民党役員人事は今月中旬にも行われるとの見方が自民党内で強まっている。政府・与党は食料品の消費税率を1%に引き下げる制度設計を進めているが、これを実施するための税制改正大綱が15日までに閣議決定されれば、高市首相は直後に内閣改造と自民党役人事を行うとの見方。このうち、党役員人事では麻生副総裁と鈴木幹事長を続投させるかどうかが焦点。内閣改造では、維新から新たに閣僚を起用するものとみられている。

中道改革連合、立憲民主党、公明党の3党党首が31日夕方、これま
で進めてきた3党の合流を断念することを確認したことを受け、今
後の政治に与える影響と「弱小野党」の塊と化した野党群の果たす
べき役割について客観的な論旨が展開されており、大変良く理解で
きました。
本来果たすべき政権チェックとしての役割を、今後どのような形で
実現していくのか、中道に関係した各党首からなんら具体的な方向
性すら明らかにされなかったことに対する筆者の危惧も強く感じま
した。
わずか7カ月で瓦解の憂き目をみた中道改革連合に対し、その担う
べき責任の重大さについては指摘されてはいるものの、その原因等
に関する見方については触れられていません。
立憲民主の野田党首の意図した「政権交代を可能にする野党の大き
な塊」に向けての公明党との新党結成ではありましたが、
公明党の実態把握を間違え、齋藤党首の党をリードする力のないこ
との見極めがなかったのではないでしょうか。
公明党の選挙活動はその組織力には目を見張るものがありました
が、近年では支持者の高年齢化により活動力の低下が目立ち、まし
てや先の衆院選における中道に対する選挙活動はほとんど見られな
かったと公明関係者からその実態を聞くにつけ、選挙区における公
明票は中道候補には行かず過去のしがらみそのままに自民党候補に
行ったのです。
公明票の行方の図式「自民党候補ー公明票=立憲候補+公明票」
は、実現されなかったのです!
これに加えるに齋藤党主の公明党に対する統率力はほとんどなかっ
たのです。
政権や他の野党から「選挙にそなえた野合」と非難されたのも
否定のしようのない政策合意の中身もないものでした。
中道の各候補も具体的に何を訴えていいか模索状態で選挙選を戦っ
たわけで訴えが届かないのも頷けます。
中道側の大敗の原因は、以上に述べたものに思いますが、一番の
要因は「高市氏」に対する過度の期待であったと思います。
政権に対峙できるしっかりとした野党の塊が実現できることを切に
切に願うものです!
文章について
「政権監視の”しっかりした野党”が必要」の項
1行目
これからの政治と野党はどのような役割が求められるのだろう
か。
→これからの政権と野党はどのような役割が求められるのだろ
うか。
( 次の文章とのつながりから言ってもこの方がよくありま
せんか )
9月2日 妹尾 博史