高市首相”政権の骨格維持へ”内閣改造・党役員人事

高市首相は7日、首相官邸で自民党の鈴木幹事長と会談し、内閣改造と自民党役員人事について意見を交わした。その結果、自民党役員人事の後に内閣改造を行い、10月上旬にも臨時国会を召集する日程を確認した。

これを受けて高市首相は8日午前に開かれた自民党の役員会で、党役員人事について総裁である自らに一任するよう求め、役員会として一任することを決めた。

高市首相は、食料品の消費税減税を実施するための税制大綱を15日に閣議決定できれば、翌16日に自民党役員人事、17日に内閣改造を行う日程を検討している。

高市政権発足からまもなく1年を迎えるのを前に行われる内閣改造と自民党役員人事について、これまでの経緯と人事の焦点などを探ってみたい。

麻生・鈴木両氏は続投、協力関係維持へ

高市首相が初めて手がける内閣改造と自民党役員人事をめぐっては当初、鈴木幹事長の交代を望んでいるのではないかとの見方があったことから、幹事長人事が最大の焦点になるのではないかとみていた。

鈴木氏は、麻生氏の義弟で麻生派に所属していることから、鈴木幹事長の処遇は、高市首相が麻生氏との関係をどのように考えているかを占う人事として、党内外の注目を集めていた。

そして一部には、高市首相は、鈴木氏に代えて、旧安倍派の萩生田幹事長代行を起用するのではないかとの見方も出ていた。

こうした中で高市首相は先月25日、首相官邸で麻生副総裁の二人だけで昼食をともにするなど人事の調整を進めてきた。官邸や自民党関係者の情報を総合すると高市首相は、麻生氏の副総裁留任を求めるとともに鈴木幹事長の続投を認めたものとみられる。

高市首相としては、当面の最大の懸案である食料品の消費税減税を実現させることと、来年秋の自民党総裁選で自らの再選を果たすためには、唯一の派閥である麻生派を率いる麻生氏の協力が不可欠だと判断したためとみられる。

一方、党内には高市首相は、鈴木氏交代を模索したが、その後任として適任者を見いだすことができなかったため、鈴木氏交代を断念したとの見方も聞く。

小泉・茂木・小林各氏留任へ、林氏が焦点

内閣改造をめぐって高市首相は、早い段階から内閣の要である内閣官房長官には木原稔氏の留任を決めていたほか、片山財務相の留任も固めたとされる。

一方、去年の総裁選を争った小泉防衛相、林総務相、茂木外相、それに自民党の小林政調会長の処遇も焦点になっている。このうち、小泉防衛相と茂木外相については留任が固まったのに続いて、小林政調会長についても留任で調整が進められている。

一方、林総務相の処遇について、高市首相の意向は明らかになっていない。林総務相自身も「次の総裁選をにらんで内閣を離れたい意向」との見方もあり、改造人事の焦点になっている。

林氏は旧宏池会出身で穏健リベラル派で、保守色の濃い高市首相とは違いがある。内閣や党の要職に止まれば、来年の総裁選への挑戦が制約されるとの見方もあり、林総務相と高市首相がそれぞれどのように最終判断するか注目される。

維新 初入閣、参院自民党人事も注目

今回の内閣改造では、連立を組む日本維新の会が初めて閣僚を出すことになる。去年の高市政権発足にあたって維新は、高市首相から入閣を求められたが応じず、閣外協力の立場を続けてきた。

今回、初めて閣僚や副大臣などの政務三役を出す運びになっている。維新関係者によると入閣候補として馬場元代表や、藤田共同代表、中司幹事長らの名前が上がっており、最終的には馬場氏の可能性が大きいとの見方もある。

その場合、規制改革担当相のポストが取り沙汰されているが、未だ流動的だ。維新が閣内に入った場合、自民と維新の連携が強化されるのか、逆に不協和音が増すことになるのかも注目点だ。

このほか、高市首相と参議院自民党との関係、具体的には石井参院自民党幹事長が再任されるのかも関心を集めている。高市首相は先の特別国会の運営をめぐって石井幹事長との関係がギクシャクしたことから、石井氏の交代を求めているとの見方もある。

一方、参院自民党は独自性が認められており、参院自民党の議員会長が参院の人事権を持っている。つまり、総裁といえども参院の人事権を直接行使できないのがルールで、歴代総裁も尊重してきた。高市首相も総裁選への影響も考慮して、人事の介入は避けるのではないかとの見方が強いが、なお警戒する声も聞く。

消費減税実現と総裁選再選がねらいか

ここまでみてきたように自民党執行部は、麻生副総裁を筆頭に鈴木幹事長、萩生田幹事長代行、それに小林政調会長も留任する方向で最終調整が進んでいる。一方、内閣は、木原官房長官と片山財務相に続いて、茂木外相、小泉防衛相の留任が固まるなど政権の骨格は変えずに維持する見通しだ。

これは高市首相としては、衆院選の公約に掲げた食料品の消費税減税を秋の臨時国会で実現するために、政府と党で制度設計などにあたってきた当事者をそのまま充てることで、法案の成立を確実にしたいためとみられる。

また、去年の総裁選を争った小泉、小林、茂木の各氏を内閣と党に事実上、封じ込めるとともに、党内の影響力が大きい麻生副総裁の協力を得ることで政権を安定させ、来年秋の総裁選で自らの再選を図りたいとのねらいがあるものとみられる。

一方、高市政権の骨格が変わらないということは、国民からみると「変わり映えがせず、物価高対策をはじめとする国民生活の安定に向けた大胆な取り組みも期待薄」との見方が強まることも予想される。

また、先の特別国会で高市政権は強引な政権運営が批判を浴びたように政権運営の危うさを指摘する声は多い。内外に数多くの難問を抱えている中で、重要政策で成果を上げることができるのか、さらに安定した政権運営ができるのか、新たな体制の力量が秋の臨時国会でさっそく問われることになる。(了)

★追記(9月14日午前10時)高市首相は、自民党の国会対策委員長に村井英樹・元官房副長官を起用する意向を固めた。村井氏は当選6回、閣僚経験はなく、異例の抜擢となる。従来の国会運営を変えたい高市首相の強い意向が働いているものとみられる。▲連立政権を組んでいる日本維新の会からは、中塚幹事長を入閣させる方向で調整が進んでいる。▲去年の総裁選で高市首相と争った4人のうち、小泉、小林、茂木3氏は留任の方向で、残る林総務相の処遇が焦点になっている。

★追記(9月15日午後9時)高市首相は15日午前の自民党役員会で、16日に自民党役員人事、17日に内閣改造をそれぞれ行う方針を表明した。▲自民党役員人事では麻生副総裁、鈴木幹事長、小林政調会長、西村選対委員長の留任が固まった。総務会長には梶山国対委員長、国対委員長には村井元官房副長官の起用が固まった。萩生田幹事長代行も留任の見通し。▲参議院自民党人事では、石井幹事長を交代させ、後任に青木参議院議運委員長を充てる方向で調整が進められている。

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