先の衆院選で自民党が歴史的圧勝を収めたのを受けて召集された特別国会は、先月25日に閉会した。また、焦点の食料品の消費減税について高市政権は5日、来年4月から2年間に限って消費税率を1%にまで引き下げる方針を閣議決定した。
一方、報道各社の世論調査によると高市内閣の支持率は先月半ば以降、急落しているが、8月に入って歯止めがかかるのかどうか。また、食料品の消費減税について国民はどのようにみているのか。NHKの8月の世論調査がまとまったので、そのデータを基に分析してみたい。
結論を先に言えば、高市内閣の支持率は53%で先月調査から5ポイント下がり、去年10月に発足して以降、最も低い水準となった。これは最も多い無党派層の支持離れが進んだためだ。
また、特別国会で成立した皇室典範の改正については国民の理解が得られていないほか、消費減税についても支持に広がりがみられないことが影響しているものとみられる。
特に消費減税をめぐっては秋の臨時国会で本格的な議論が行われることから、高市政権は厳しい政権運営を迫られる公算が大きい。なぜ、こうした見方をしているのか以下、具体的にみていきたい。
無党派層・女性・高齢層の支持離れ
NHKの世論調査(8月7~9日実施)によると、高市内閣の支持率は53%で、7月調査から5ポイント下落した。一方、不支持率は33%で、6ポイント増えた。高市内閣の支持率は衆院選が実施された2月は65%と高かったが、それ以降は下降傾向が続いている。8月の53%は去年10月の政権発足以降、最も低い水準になった。
報道各社の世論調査では7月半ば以降、内閣支持率が急落している。NHKの8月の調査でも下落傾向が続いていることから、支持率下落の流れには歯止めがかかっていないと言える。
次に高市内閣の支持層を党派別にみると自民支持層では85%、横ばい状態で変わっていない。一方、有権者全体の4割を占めて最も多い無党派層では36%で、先月に比べて8ポイントも減少した。ここが大きく影響しているものとみられる。
男女別では男性が6ポイント下がって56%、女性は2ポイント下がって48%だった。女性の支持が半数を割り込んだのは、今回が初めてだ。
年代別では、18歳から20代・30代では62%、30代で65%が支持しているほか、50代でも59%と高い水準を保っている。これに対し、60代と70代、それに80歳以上では4割台に止まっている。特に60代は支持が14ポイントも減っており、50代を境に高齢層の支持離れも目立っているのが特徴だ。
皇室典範改正、消費減税の政策も影響
高市内閣の支持率が発足以降、最低水準に落ち込んだ背景としては、どのような背景があるのだろうか。
まず、高市内閣を支持する理由と、支持しない理由からみておきたい。支持する理由としては、①「実行力があるから」が33%、②「他の内閣より良さそうだから」が31%、③「政策に期待が持てるから」17%で、順位は7月調査と変わっていない。
一方、支持しない理由は、①「政策に期待が持てないから」が43%、②「人柄が信頼できないから」が23%、③「支持する政党の内閣でないから」11%となっている。
先月は「人柄が信頼できないから」が35%で最も多かったが、今回は「政策に期待が持てないから」が最多で入れ替わった。人柄というやや漠然とした理由から、支持しないのは政策だと理由を明確にしている点がこれまでと異なる点だ。
そこで、国会終盤で大きな争点になり、成立した改正皇室典範についてみると「国民の理解を得られていると思うか」という問いに対し、「得られている」は29%に止まった。「得られていない」は64%に上り、大幅に上回った。
皇室典範改正の審議時間は衆参両院を合わせても6時間余りと極めて短かった。また、政府案は皇位継承は男系・男子の皇族に限定し、女系・女性天皇を認めない点などに問題があると感じた国民が多かったことも影響したのではないか。
また、政府が来年4月から2年間、税率を1%に引き下げ、中低所得層に1%相当分を給付するとした方針を閣議決定したことへの賛否を聞いたところ、「賛成」は49%、「反対」は39%、「わからない・無回答」は12%だった。
さらに、この減税がもたらす国の財政への影響について聞いたところ「大いに懸念している」は30%、「ある程度懸念している」は37%の合わせて67%に上った。これに対して「あまり懸念していない」は19%、「まったく懸念していない」は9%の合わせて28%だった。
物価高が続く中での減税には、国民の多くが歓迎するのではないかとの見方がある中で、「賛成」が半数程度に止まったことは、減税の是非を慎重に考えようとする国民が多いことをうかせる。
また、減税に伴う国の財政への影響を懸念する人が67%、3人に2人の割合にも上ったことは減税に必要な財源をどのように確保するのか、高市政権の取り組みを見極めようとする国民の慎重な姿勢も読み取れる。
経済のかじ取り・無党派層の動向がカギ
さて、高市政権の今後の政権運営と秋の政治の展開はどのようになるだろうか。今回の世論調査で、熊本地震への政府に対応について、「評価する」は「大いに評価」と「ある程度」を合わせて67%に上り、「評価しない」の27%を大きく上回った。
大きな震災や事故などが起きた場合、危機管理に当たる政府の評価が高くなる傾向がある。逆に言えば、この震災対応がなければ、高市内閣の支持率は5ポイント減に止まらず、大幅に下落したのではないかと推測している。
一方、無党派層について、高市内閣を支持する割合などを詳しくみてみると「支持」は36%に対し、「不支持」は42%に達し、不支持が支持を上回った。これは石破政権末期とほぼ同じ水準にあたる。つまり、無党派層については、不支持が多数を占めて、政権にとっては危険水域に達しているとみることができる。
こうした無党派層に大きな影響を及ぼすのは、暮らしや経済政策だ。消費税減税をめぐって無党派層をはじめとする国民は、財源の確保は本当にできるのか、財政に対する市場の信認は得られるのか、歴史的な円安への対応はどうするのかといった点を見極めようとしている。
したがって、秋の臨時国会で高市首相は、消費税減税をはじめとする経済・財政政策全体のかじ取りについて、説得力のある方針と具体策を打ち出せるのかが問われている。
説得力のある方針が示されない場合、無党派層の支持離れはさらに進み、高市首相は一段と厳しい状況に立たされることが予想される。高市首相の経済運営のかじ取りと無党派層の動向、この2つが秋の政治の大きなカギを握っている。(了)

高市政権の支持率が先月半ば以降急落してきており、その傾向の動
向について、8月7日から9日に実施されたNHKの世論調査のデー
タを基に、詳しくその内容および原因について説明されており、大
変良く理解できました。
支持率低下が続いている要因は、特に国民の最大多数を占める「無
党派層」の支持離れにある点と、政策面では「消費税を来年4月か
ら1%に減税」と「皇室典範改正」がいずれも国民の支持を得られ
ていないことを分析・指摘されており、納得しかりです。
高市首相に関しては、これまでも「台湾発言」や総裁選や衆議院選
の選挙時にその陣営が他の候補者に「誹謗中傷データ」をまいた
とかいろいろ問題がありました。
さらに直近では、熊本地震への視察時、また広島・長崎の原爆忌へ
の参加時に心ない対応があったと「顰蹙」をかっていることも見逃
し難いです。
高市政権が今後の政権運営にあたって、必ずしも国民の支持を得ら
れたとは言えない上記2件の政策をはじめ、大元になる経済政策や
軍事力強化・少子化対策等各重要課題にどのように「具体的」な
方針を決定していくのか、ますます国民の厳しい監視の目が必要
とされています!
今回は文章について気づいた点はありません。
8月12日 妹尾 博史