消費税減税 議論深まらず、”簗農相に問責決議案” 野党検討

臨時国会は、高市首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が7日から9日までの日程で行われ、本格的な論戦が始まった。この国会は、来年4月から食料品の消費税の税率を1%に引き下げる法案や高市政権の経済・財政政策、さらに日中関係など国民にとって関心の高いテーマが多い。

だが、ここまでの国会冒頭の論戦では、焦点の食料品の消費税減税について高市首相は、消費税率引き下げの効果や、年間5兆円程度必要とされる財源を確保する方策などについて踏み込んだ答弁を避けている。

9日に閣議決定された食料品の消費減税関連法案でも、減税の財源や新たに導入される給付の対象なども示されていない。これでは国民や市場の納得を得るのは難しいのではないか。

一方、先の衆議院選挙で、自らを支持しなかった首長の自治体の道路予算を「大幅にカットした」などと発言した簗農相に対して、野党各党は問責決議案の提出を検討することで一致した。参議院では野党が多数を占めているため、問責決議案は可決される可能性もある。

国会冒頭の論戦を点検するとともに、”消費税減税国会”はどのような展開をたどるのか探ってみたい。

消費税減税法案、相次ぐ疑問・懸念

臨時国会で最大の焦点になっている食料品の消費税減税について、高市首相は所信表明演説で「暮らしに最も近い飲食料品の税負担を軽くし、あわせて、所得に応じた支援金を措置し、家計に少しでも『ゆとり』を生み出したい」と消費税減税関連法案の早期成立の必要性を訴えた。

これに対し、野党各党は「食料品だけでなく、さまざまな原材料などが値上がりしているため、食料品の消費税率を引き下げても、商品価格は期待するように下がらないのではないか。それより給付を急ぐべきだ」などと追及した。

また、減税に必要な財源をどのように確保するのか、非課税の農家や影響を受ける外食産業への支援をどのように行うのかといった指摘や、2年後に消費税率を元に戻せないのではないかといった影響を懸念する意見が相次いだ。

これに対して、高市首相は財源問題については「市場の信認を得られるよう、特例公債(赤字国債)に頼らずに確保する。ご心配には及びません」と強調したが、具体的な財源に言及することは避けた。

政府は9日の臨時閣議で、来年4月から2年間に限って食料品の消費税率を8%から1%に引き下げるとともに、2029年度からは働く中低所得者への給付(支援金)を創設する法案を決定し、国会に提出した。

ただ、この法案でも減税の財源をはじめ、支援金はどれくらいの年収の人が対象になり、どの程度の支援金になるのかなど具体的な制度設計は明らかにしていない。法案が成立後、政令で決めることにしている。野党側は強く反発しており、特に参議院は与党が過半数割れしているため、成立は見通せていない。

簗農相 続投表明も収束見通せず

各党の代表質問で、もう一つ大きな問題になったのが簗農相の問題だ。簗農相は先の衆院選で自らを支持しなかった首長の自治体の道路予算について「大幅にカットした」などと発言したとされる。

野党側は、行政の公正性を歪め閣僚としての資質にも欠けるとして、簗農相の政治責任を追及するとともに高市首相の任命責任を質した。

簗農相は当初、記者団の質問に「回答を控えたい」としていたが、その後自らの発言内容を認め、撤回して陳謝した。高市首相は「私も不適切だと考え、厳しく注意した。本人がしっかりと説明した上で、襟を正して職責を全うしてほしい。とにかく働いて仕事で返せと言っている」とのべ、続投させる考えを示した。

これに対し、国民民主党の玉木代表は、国土交通省以外でも同様な事案があるかどうか全省庁の調査を求めたが、高市首相は応じなかった。立憲民主党の斉藤国会対策委員長は「早期に大臣職を退かれることを強く求めたい」との考えを示しているほか、参議院農林水産委員会の開催に応じない考えだ。

さらに9日朝、自民党本部で開かれた農林関係の会合で簗農相が閣僚としてのあいさつしたところ、出席していた鈴木宗男参議院議員が「冒頭に『お騒がせしています』とか『説明責任を果たして参ります』というあいさつがあってしかるではないか。人として矜恃が問われている」と叱責する場面もあった。

高市首相は続投表明によって早期収束を図りたい考えだが、野党だけでなく世論、自民党内からも厳しい受け止め方が出ており、事態の収束は見通せない状態だ。

今回の背景としては、衆院選で自民党が歴史的な圧勝を収めてことで、党内の一部に気の緩みや驕りが現れるようになったとの指摘がある。自民党は過去にも新閣僚の問題で世論の反発を招き、内閣支持率が急落したケースもある。簗農相の問題は高市政権のリスク要因になっている。

簗農相へ問責決議案も、国会は波乱含み

それでは、これからの国会はどのような展開になるのだろうか。衆参両院で各党の代表質問が終わったのを受けて、13日と14日に衆院予算委員会、16日と19日に参院予算委員会に舞台を移して、高市首相と野党が一問一答方式で詰めた質疑が行われる。そして、消費税減税関連法案は今月20日以降に衆議院の委員会で実質審議が始まる見通しだ。

こうした中で、参院の立憲民主党や国民民主党、公明党など野党6党の国会対策委員長は9日、簗農相に対する問責決議案の提出を検討することで一致した。問責決議案は法的拘束力はないが、政治的な意味は大きく、可決された場合、これまで閣僚は辞任に追い込まれている。

参議院は野党の方が多数を占めており、野党が一致すれば、簗農相に対する問責決議案は可決される可能性がある。このため、高市首相は週明けの衆院予算委員会でどのような判断を示すかが注目される。

安倍政権の場合、不祥事が表面化した場合、菅官房長官を中心に閣僚を早期に辞任させるなどの対応をとってきたが、高市政権は危機管理面の対応が弱いのではないかとの指摘もあり、高市首相の判断が問われることになる。

一方、消費税減税をめぐっては、財源と新たな給付制度の制度設計が議論の焦点になる。高市首相は財源問題について「ご心配には及ばない」と繰り返すが、財源の内訳や規模のメドを示さないと野党が多数を占める参議院では、審議が止まる事態も予想される。

また、新たな給付制度についても、対象となる層の年収や給付の額が明らかにならなければ、野党側が強く反発することも予想される。こうした制度設計や基本データは、国民会議で議論された時から提示を求められてきた点だ。

週明けの衆院予算委員会では、簗農相の進退問題が大きな焦点として浮上することが予想される。

一方、消費税減税については、高市首相が法案の核心部分の考え方や制度設計のあり方を具体的に示したうえで、野党側とどこまで突っ込んだ議論ができるかどうか、臨時国会は波乱含みで展開することになる見通しだ。(了)

← 戻る

ご回答をありがとうございました。 ✨

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です